WORK 144
JR東海道線「辻堂駅」と、辻堂海岸を結ぶ通りの住宅街に佇むRC造の賃貸マンションです。ノース棟・サウス棟の2棟の間には、一般的な賃貸マンションでは希薄になりがちな「ご近所付き合い」を誘起させるよう、シェアテラスやドッグラン、サーフボードラックやシャワースペースといった、様々なコモンスペース(共用部)を設けました。低層住宅街に馴染むようボリューム感を整え、地域からも「Crest Graden(クレストガーデン)」からの明るいコミュニティの気配をうかがい知れるように、広がりと抜けを丁寧に設計しています。独自のカルチャーが根付く湘南の地域的特性を活かしたリゾートライフを演出する計画となっています。
ノース棟外観。白い塗り壁に、ブルーをアクセントに用い、海辺のリゾート感を演出。中央には、江戸時代から残る市の保存樹木に指定されたマキ。大切に残しながら工事が進められた。
1F両端住戸は、道路から玄関に直接アプローチが可能。賃貸にもかかわらず戸建感覚がある。周囲の住宅街に溶け込むように、屋根の端部は低層とした。手摺と庇のデザインで、リズムと伸びやかさを生み出す。
夜になるとマリンライトが美しく灯る。街並みを明るくし、人々の帰路を見守る。
ノース棟の2棟を繫ぐブリッジには、光と風が通り抜ける。この「抜け」により、周辺地域からも内部の様子が自然と感じられ、開放感を与える。
共用廊下からは南北に辻堂の街が見通せる。ペットに配慮し格子の間隔を細かくした鋳物製手摺。丸い青柱が構造的にもブリッジを支えている。
ノース棟には、専用ガレージへ駐車するための鋳物製オートゲートがあり、車から降りずに出入りが可能。門柱は琉球石灰岩製、花壇はジャワ鉄平石の小端積み。
二棟の間には、天然芝のドッグランがある。大きな桜の木はオーナーご家族が代々大切に育ててきたヤマザクラ。春には満開になり花見も楽しめる。
シェアテラスはフリーWi-Fi完備。自由に使用できる。入居者同士の交流イベントなども行われている。右手のサウス棟は、室内を屋根なり勾配天井とすることで高さを抑え、庭への日差しを確保している。
サウス棟は2階建て。1階住戸には広めの専用庭があり、子供や愛犬を気兼ねなく遊ばせることができる。右手奥のノース棟手前にはドッグランがあり、その奥にあるシェアテラスのヤマザクラが道から垣間見える。
サウス棟のエントランスも花ブロックで彩り、海辺のリゾートを感じさせるデザインに。通路にはオーナーが海で拾い集め宝物にしていたシーグラスを埋め込んだ。
夜になるとさらに輝くエントランス。緩やかに弧を描く石畳が、その先にあるシェアテラスへと誘う。
3階にはパーゴラで囲い込んだ屋上テラスがある。ノース棟・サウス棟の、いずれの入居者も自由に利用可能。
サウス棟エントランスを通り抜けると、シェアテラスが広がる。琉球石灰岩製のアーチが額縁となって、風景を引き立てる。
右手ノース棟の専用ガレージ前は、出入りしやすいゆとりをとった。バルコニーに面する2階共用廊下には、開口部に花ブロックを設け、プライバシーに配慮している。
サウス棟エントランスには、サーフボードラックがある。海が近い辻堂ならではの共有設備。他にも屋外シャワースペースや、足洗い場などもあり、海からの潮や砂をしっかり落とすことができる。
二棟の間のシェアテラスとドッグラン。芝生は日陰でも緑色を保つ、省管理型の高麗芝を採用。
サウス棟の3階にある屋上テラス。晴れていれば、江ノ島や富士山がよく見える。パーゴラを支える基礎を隠しながら、ベンチとしても利用できるよう、ウッドデッキを張り伸ばした。
明るい室内。全室ペット対応のフローリングを採用。壁の腰高さに見切りを入れて、壁紙貼り替えの際の省力化を図る。
すべての居室にワークスペースを設けた。カウンターは折り畳み形式となっているので、別の用途に転用も可能。
広々とした玄関。脇には大容量のウォークイン収納を確保。角部屋の玄関前にはアルコーブを設けている。
室内からも室外からもアクセス可能な専用ガレージ。扉を開けると2Fにつながる室内階段が現れ、雨にぬれずに室内に入れる。駐輪スペースと、EV充電コンセントを備える。
既存樹木を避けて横長になったボリュームが街に調和するよう、スカイラインに変化をつけながら分節した。
シェアテラスでは、DIYイベントや入居者同士の交流イベントが開催される。また、オーナーが活動の場を提供する「クレスト農園」では、入居者やオーナーが集い楽しく畑を耕す。これらの明るい気配が地域にも伝播し、新たな「街角」が生まれつつある。
長野 篤
木工事:竹中 光雄 RC:川原 正敬、眞方 和昭
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