建築大工による木造帆船の大規模レストア。 チーク材を随所に使用した歴史を感じる優雅な空間が魅力の船内と、船体の美しい曲線と佇まいが魅力の本格的なクラシック木造帆船「クレオパトラ号」は、 船齢43年を迎え、腐食衰耗による経年劣化等により、航行困難となっていました。 この帆船の修繕に建築大工が挑み、「ヴィンテージ」の魅力と技術を後世へと繋ぎます。
静岡県某所にある区画整理事業地の一角に建てられた、丘のような住宅。森を切り拓いて作られた敷地周辺には、設計当初は街路樹や公園などの緑が一切なく、人工的な風景が続いていました。 新興街区に建ち始めた建築は配置も高さもバラバラでとりとめがなく、町並みとして目指す方向が定まっていないように見えました。 私達はこの場所に、町の成長や豊かさに寄与するような、そんな風景を作りたいと考えました。(設計:OKDO)
平成建設では自社にて職人を育成し、現在では200人を超える職人集団を形成するに至りました。 この熟練度・年代を網羅した複層的な職人集団は、職人間の技術の伝承、鍛錬、高い品質の建築を可能にしています。 この仕組みが、元請けと下請けに分離し、職人の仕事がアウトソーシングされている現在の建築業界に一石を投じるものとして、2011年度グッドデザイン賞を受賞しました。
「S+Wハイブリッド耐震パネル」の開発は、耐火建築物でも木のあらわしを実現できないかという視点からスタートしました。 同時に、新構法が普及するためには容易性 ―― 施工のしやすさ、工期の短さといったメリット ―― や耐震性が必要不可欠であり、これら付帯条件もまた同時に検討を重ねる必要がありました。 様々な構造、構法、材料を検討した結果行き着いたのが、「鋼」と「木」が特長を生かしつつ相互に補完しあう「ハイブリッド耐震パネル」です。
建築にサステナビリティを求める時、多くはハイテクな技術に行き着きます。しかし、大抵それらは高コストで誰もが採用できるものではなく、普遍性に欠けているのではないでしょうか。 平成建設世田谷支店は、誰もが施工可能で汎用性のある「在来工法=ローテク」を主軸に、様々な側面から建築におけるサステナビリティについて、独自の解を採用しました。 私たちは、より広汎な意味での建築的な持続可能性―サステナビリティとは、「身近なものの問い直し」であると考えます。
漆塗りは古くから日本人の生活に根ざした素材です。
しかし現在の漆市場は、安価な海外製品やユーザーのライフスタイルの変化などにより縮小の一途を辿り、更に後継者不足にも悩まされています。
この状況を打破するべく、平成建設では通常紙や木材に施される漆塗りを不燃材へと塗布する技術を開発。漆塗りに建材・内装材としての新たな可能性を見出しました。
木の手すりを曲げる場合、ブロック状の木材を成型して製作することが一般的ですが、この方法では切断面で木目が途切れてしまいます。 「七曲」は、厚さ1mmの単板を手すりの形状に合わせて積層することで、途切れない一続きの木目と変幻自在な曲線を生み出した木製手すり。 均等に重ねられた単板は高級材「四方柾目」の木目を再現しつつ、同時に強度も補強します。木の性質と美しさを良く知る大工だからこそ生み出すことのできた一品です。
福井県の古民家で使われていた柱や梁・建具を10棟以上から集め、新しい古民家として再構築した「大町の家」。 膨大な数の個性的な古材を組み上げ、元々そこにあった古民家のような佇まいとするためには日本古来の設計力と職人の技術が必要でした。 日本の木造建築は長きにわたり住み継いでいける優れた構造であること、またそれを持続していくための設計力と職人の技術も継承しなければいけないということに、この「大町の家」を通じて気づいていただけることを希っています。