WORK 143
玄関・水回り分離型の二世帯住宅という条件を満たしつつ、庭をなるべく広く取りたい、楽しく過ごせる家にしたいというご家族の希望を叶えるため、スキップフロアで繋がる3階建ての住まいを計画しました。 高天井のLDKは重ねて2層に、それ以外の空間は3層に分割。 スキップフロアは構造計算が複雑になりプランの納め方も難しくなりますが、空間をずらして繋ぐことで建具を設置せずとも空間が分割され、アスレチックのような面白い動線をつくことができます。
スマートな北棟とマッシブな南棟を組み合わせた外観。 それぞれの棟のイメージに合わせて、北棟には縦目のサイディングを、南棟にはパネル状のサイディングを使用し、窓の形もそれに合わせた。 道路側の開口部を制限したのは、建物正面の要素を整理したいという意図による。 縦方向に連続した窓からは、スキップフロア独特の動きのある階段室が見える。
エントランスには陶磁タイルを敷き、アクセントとしてマホガニーの羽目板を貼った。 玄関先には自転車を置くことを想定し、ゆとりのあるスペースを確保した。
階段はスキップフロアの構成が明快になるよう、浮遊感のあるデザインに。 ササラと踏み板には木を用いたが、手摺りはなるべくスマートに収まるよう鉄骨製とし、一部は上階の踊り場から吊り下げている。
親世帯と子世帯の玄関は別に設けたが、この玄関ホールで繋がっている。ホールの一部に畳を敷き、簡単な応接はここで行えるように計画。
半階で折り返す短い階段を利用した、3階建て5層の住まい。 LDKの壁にはスキップフロアに繋がる開口部を設け、竣工後にはハシゴを設置している。こども達は階段とハシゴを使ったアスレチックのような回遊動線を楽しんでいるそう。
LDKの床下を利用し、床面積に算入されない収納空間を設けた。 現在は「大人と適度な距離を持ったこどもの遊び場」をイメージし、間仕切りや建具を設置せずに緩やかに分節しているが、将来的には家族の在り方の変化に合わせて、適宜間仕切りを追加していことを想定している。
グレイッシュなカラーでまとめた2階子世帯LDK。空間を一つに繋げ、上部を吹き抜けにすることで縦にも横にも広がる開放的な大空間となった。 木造でも、構造計算を行うことでこのような大空間をつくることが可能になる。 2階、3階の床に採用したグレイのタイルはプラスチック製で、スタイリッシュな印象ながら、石張りのタイルよりも表面が冷たくないのが特徴。
キッチンには小窓を設け、半階下がったスキップフロアと繋げた。 夕食の際や用事がある時に気軽に声を掛けることを想定している。
奥様のご希望だった「ホテルライクな空間」は、素材感と色数を制限することで実現した。 キッチン面材や床のような「面」には無機質な素材感を用い、ライティングレールや窓枠のような「線」には黒を使用。 その上で、アクセントとして吊戸棚や梁の木質質感を組み合わせた。
照明は高天井と相性の良いペンダントライトを選択し、収納棚上部にはコーニス照明を設置。エアコンは天井に装着するタイプを選び、壁回りをすっきりと纏めた。 天井が高く圧迫感を感じにくいため、天井やテラス側の壁面に濃い色を取り入れて目を引く配色としている。 LDKを縦断する長大な吊戸棚とカウンターは大工の造作家具。約6mの収納は自由設計ならではのデザイン。
リビングスペース上部には大ぶりなペンダントライトを設置。 天井が高くなればなるほど、重心を下げるペンダントライトの視覚効果は増加する。 1階のLDKが高天井になっている関係上、2階は周囲の住まいよりも半階高くなっており、外部からの視線を気にする必要がない。 お施主様はカーテンを引かず開放的な暮らしを楽しまれている。
ルーフバルコニーは屋上に設けるプランも検討したが、単純な面積よりも使い勝手の良さを重視して、LDKと一体化して使える2階に配置することとなった。 親子で日向ぼっこを楽しんだりバーベキューを楽しんだりと、リビングの一部として有効に活用している。
この住まいは総3階建てのメリットを最大限に活かすため、1階+1階+1階で3層になる部分と、1.5階+1.5階で2層になる部分を効果的に組み合わせている。 向かって左側に見えるフロアはそれぞれ2階と3階に相当し、LDKは1階、2階共に、それぞれ1.5階分の高さを持つ。
最上階のロフトは、天井高さを1.4m以上確保した居住空間として設計。普段は書斎として利用しているが、来客時には客間としても利用する。隠れ家的な書斎が欲しいというのが当初からの希望だった。
ロフトからの眺め。子世帯LDKは1.5階~3階部分に相当する。 一般的な天井高さが2.2~2.4mであるのに対し、一番高い部分で4.9mほどの天井高さを実現した。
建物をL字型に配置し、前面道路からの視線を遮りつつ細長い庭を設けた。 3階建てを選択した理由の一つが、この庭。 建物を縦方向に伸ばすことで平面に余裕が生まれ、サッカーやバドミントンを楽しめる中庭を設けることができた。
隣家との距離が近くなる都市部に於いて、住居の1階部分は十分な日当たりを得られないことがある。 隣家との間に庭のような緩衝地を設けることで改善が期待できるが、こちらのお住まいでは、更に高天井にすることでより多くの光を取り込んでいる。 正面の壁に見える小さな開口部は猫用の通路。壁に回した腰見切りは空間が間延びしないように設けているが、同時に猫の爪とぎを見越して、クロスの張替えがしやすいようにという意図も含まれている。
1階の親世帯は、シックな古民家風に統一した。高天井のLDKに対して和室は一般的な天井高さに抑えており、上部に2階のバルコニーを設置することで生活音の問題を解決している。
一部だけ3階建てにするよりは総3階建てにして、そのメリットを最大限享受しようというのがコンセプトのひとつ。 2層と3層の空間をスキップフロアで繋げることで、住まい全体に立体的な複雑さや面白さが生まれたが、 ずらした階層を違和感なく納めるためには意匠面・構造面で多くの検討事項が発生した。
宮重 達也
清水 拓弥
平成建設の家づくりをご紹介した、施工事例集を無料でプレゼント中!
新築住宅、リノベーション、マンション建築など、様々な資料をまとめてご請求いただけます。