大開口の平屋 | 施工事例 | 平成建設

WORK 139

大開口の平屋

かつて設計士として働き、建築士の国家資格をお持ちのお施主様。設計士としての経験をベースに「欲しい家の広さ」や「必要な空間」を検討し、メリットの大きい平屋でご自宅を建築することを決められました。 平屋のメリットは、木造でも眺望を活かすための大空間・大開口を設けやすいこと、住まいのメンテナンスが容易なこと、お掃除ロボット1台で家全体が掃除可能なこと。 更に間取りによって家事動線が短くできる点、工夫次第で冷暖房費のランニングコストを削減できる点など、設計士ならではの目線が随所に活かされ、機能的でモダンな平屋が完成しました。

建築データ

  • 構造

    木造
  • 所在地

    静岡県裾野市
  • 築年数

    新築
  • 階数

    平屋
  • 延床面積

    104.34㎡(31.56坪)
  • 世帯数

    単世帯
  • 性能

    長期優良住宅
白い外観のモダンな平屋

外観 Facade

ガルバリウム鋼板の屋根にモルタルの白い外観を組み合わせた、モダンなデザインの平屋住宅。 屋内からの眺めを重視し、前面道路に対して家屋を斜めに配置した。

くの字に折れるアプローチ

外観 Facade

庭側には大開口を設ける一方で、道路側には一つも窓を設けていない。 玄関は横向きに設けて外壁をふかすことで、外部からの視線を遮るデザインとした。

三角形の残土を利用した植栽

外観 Facade

駐車場と玄関アプローチは前面道路と平行になるように配置。 建物は斜めに配置されているため、住まいとアプローチが交わる部分には三角形の残地が生まれる。 外構計画は道路のラインと建物のライン、そしてこの三角形のスペースを活かすデザインとし、余計な要素を省くことでシンプルに纏まった。

シンプルな外観

玄関・土間 Entrance and doma

外観と同じく、シンプルなデザインの玄関。限られた空間を最大限に活かすため、土間に下駄箱は設けず、ホール正面に靴の収納スペースを設けている。 LDKに繋がる扉を透明なガラスにすることで開放感を演出すると共に、窓のない空間に光を導いている。

庭に向かって大開口を設けたダイニング

ダイニング Dining

コンパクトに纏めた玄関の先には、壁の一面を全て窓にした開放感のあるダイニングが広がる。 法律上の制限により東側の土地に住宅が建つ可能性は低く、思い切った大開口を設けることができた。 建物を斜めに配置したのは、この大開口の方向を調整するため。

平屋の強みを活かした高い天井のダイニング

ダイニング Dining

平屋であることを活かした大開口は、約3.8mほどの高さがある。 ダイニングキッチンは19畳ほどの広さだが、天井の高さと大開口の視覚的効果によって畳数以上の広がりを感じられる空間となった。 壁と天井には、手塗りの質感がおしゃれなポーターズペイントを使用。「ストーンペイントファイン」という質感に「ポップコーン」という色を組み合わせた。

ロールスクリーンを降ろしたダイニング

ダイニング Dining

窓際にはカーテンではなく、リモコンで開閉する電動式のロールスクリーンを設置した。 シンプルなロールスクリーンだが、下ろしている時と上げている時では広さの印象が大分変わる。

夜景と照明計画

ダイニング Dining

ダイニング夜景。住宅にとって照明計画は非常に重要な要素。 こちらのお住まいは空間全体を明るくするのではなく、テーブルの明るさ、キッチンの明るさ、ソファの明るさなど、それぞれの対象に合わせた照度を確保している。 なるべくコンセントが露出しないよう配線を工夫し、壁のスイッチで各所の照明が点灯できるように計画した。

籠り感のあるリビング

リビング Living

広々としたダイニングキッチンに対し、隣接するリビングスペースは「籠り感」を重視。 天井の高さを約1.3mほど低く設定し、ラワン材を張ることで重心を下げている。 死角を利用した棚にはプロジェクターを設置し、HDD、ゲーム機などをまとめて収納。

プロジェクターを使用するリビング

リビング Living

リビングの開口部は幅広の窓一つに留めた。 テレビは設置せず、向かって左側の壁にプロジェクターで映像を投影している。

ダイニング Dining

リビングからダイニングを見る。 開放的なダイニングと閉鎖的なリビングは意図的に対比させており、その時々の過ごし方に合わせてどちらかを選べるように計画した。 普通に仕切ったのでは空間の切り替えが曖昧になってしまうため、意匠として壁の一部を厚くしてゲート状に加工。隣り合う空間の違いを強調している。

リビングとダイニングを仕切るレースのカーテン

ダイニング Dining

リビングとダイニングの間を仕切るのは薄手のレースカーテン。カーテンレールは埋め込み式で目立たないようにデザインした。 また、ダイニングのエアコンには木格子のカバーをつけてインテリアに馴染むように工夫している。 ハイセンスな空間づくりには、ウインドウトリートメントやインテリアを建築に組み込むことが有効。

カーテンで仕切られるLDK

ダイニング Dining

ダイニングからリビングを見る。明るい部屋から暗い部屋を見るとカーテンは透けにくくなるため、薄手のものでも十分機能する。

天井の高いダイニング

ダイニング Dining

平屋だからこそ「それぞれが寛ぐスペース」が重要になる。ダイニング内には、一人で外を眺めるラウンジチェア、家族が団らんするダイニングテーブルと、過ごし方の異なるスペースを設けた。 ダイニングテーブルは平成建設にて造作したもの。椅子は引っ越し前から愛用していた、ウェグナーの名作「Yチェア」と「ザ・チェア(リプロダクト)」。

トップライトから採光する洗面

洗面台 Vanity

窓からの光が届かない洗面スペースは、天井にトップライトを設けて採光。 洗面化粧台はお施主様が選ばれたパーツを組み合わせたオリジナルデザインのもので、洗面台と蛇口は輸入品を使用している。 オープンな空間なので、使い勝手だけでなくデザインも考慮した。

洗濯動線の近くに設けたファミリークローク

収納 Storage space

ポールを作りつけたファミリークローク。収納スペースを一つに纏めて洗濯動線に近い場所に配置し、家事動線を最適化している。

Garden

庭は手入れのしやすさを考えて人工芝とし、ウッドデッキよりも耐久性の高いタイル張りのテラスを導入した。 実は、この大開口の開閉部分は、一般的な引き違い窓と同じぐらいの幅しかない。 大開口で屋内と屋外をひとつに繋げて楽しむというよりも、窓を閉めて風景を楽しむことを前提に設計されている。 大開口はどうしても外気の影響を受けやすく、夏は暑く、冬は寒くなりやすい。 こちらのお住まいでは温暖差を緩和するため、Low-E複層ガラスを採用している。

  • 設計

    後藤 啓太

  • 大工

    山下 修平 井出 喬