一休庵 | 施工事例 | 平成建設

WORK 125

一休庵

都市の喧騒から逃れ、温泉郷で休日を過ごすための別荘です。計画地は温泉街を見下ろし、港湾を見渡す高台にありました。この恵まれた風景をどう楽しむか、また、別荘故に発生する「住人不在の期間」中のメンテナンスをどうするかの2点を軸に計画を立案しました。 2020年グッドデザイン賞受賞。

建築データ

  • 構造

    木造
  • 所在地

    静岡県
  • 築年数

    新築
  • 階数

    平屋
  • 延床面積

    124.41㎡(37.64坪)
  • 世帯数

    単世帯
  • 性能

大きな開口を持つモダンな平屋建築

外観 Facade

海に向かって開けた傾斜を利用し、人目が気にならない大開口を設けた住まい。 リビング、和室、浴室、寝室にそれぞれ海が見える窓を設けているが、各空間を利用する際のシチュエーションに合わせて見え方が異なるように工夫している。

大開口のあるモダンな平屋夜景

外観 Facade

比較的通行量の多い南西方向には和室を配置して視線を遮断。人通りの少ない南東方向には大きなウッドデッキを設け、開放感を存分に楽しむ配置とした。 また、建物の配置を雁行させることで敷地を二分割し、住まいの「オモテ」と「ウラ」を生み出している。

緑に囲まれた細長い玄関アプローチ

外観 Facade

建物の「ウラ」側に配置されたエントランスに繋がる、細長いアプローチ。 大開口リビングに踏み込んだ際の視覚効果や開放感を劇的に演出するため、敢えて閉鎖的な印象に纏めた。

おしゃれな階段アプローチ

外観 Facade

灯りに導かれるように緩やかな段差を上り、玄関に到達する。 建物のウラにはモミジやマツ、キンカンを植栽し、閉じた印象に仕上げた。

大開口でウッドデッキと繋がるリビング

リビング Living

対して、建物のオモテには海に向かって広がるウッドデッキを配置。 リビングの大開口は「間仕切りのない、開放的な風景」を楽しむことを目的として設けられている。高低差があるため前面を遮るものがなく、視界いっぱいに市街地と港が広がる。

海を眺めるウッドデッキ

ウッドデッキ Wood deck

周囲の自然と一体化するウッドデッキ。リビングの建具を開放すればおよそ90㎡の大空間として利用することができる。 海に向かって開けた大空間は、寛ぎの場として、パーティの場として、様々な用途に利用することができる特別な空間。

モダンな障子を用いたリビング

リビング Living

隣接する空間で構造的な強度を確保し、住まいの中心に7m×7mの余白 ──「がらんどう」を生み出した。間仕切りのない空間はどんな用途にも使うことができる。 連続する木目が印象的な天井には、通風をスムーズに行う換気ガラリを設置。

床下から暖気を吹き出す床ガラリ

リビング Living

ランニングコスト・イニシャルコスト共に良好な、床下で暖気を循環させる温風式床暖房を採用。 冬季は写真の床ガラリから暖かい空気が吹きあがる。 床下で暖気が効率よく循環するよう、基礎は分断できる「アイランド型基礎」としている。

モールテックスを採用した対面式キッチン

キッチン Kitchen

リビングに沿わせるようにL字型に水回りを配置。キッチンとカウンターは天板にモールテックスを使用している。

リビングとフラットに繋がる廊下

廊下・ホール Hall

リビングと和室を繋ぐ廊下。控え目な照明が塗り壁のニュアンスを照らし出す。

海を眺める円窓を持つ和室

和室 Japanese style room

和室に設けた書院と円窓(えんそう)。窓の手前にある棚は「書院甲板(しょいんこういた)」と呼ばれ、書き物をしたり読書をするためのスペース。 円窓の障子を開くと、切り取られた絵画のような絶景が現れる。和室の窓は「静寂を楽しむための窓」。

大壁を採用したモダンな和室

和室 Japanese style room

伝統的な和風建築の要素を取り入れつつ、大壁や楠を用いた敷目天井、灰桜色のカラー畳などを合わせて、モダンな和室とした。また、書院の足元を掘り下げることで使い勝手を良くしている。床の間の地板は漆塗りの黒檀。

ウッドデッキとフラットに接続する開放的な和室

和室 Japanese style room

和室からウッドデッキを見る。隣家の桜や松のような周辺環境も風景として取り込んでいる。

眺望に恵まれたホテルライクな洗面脱衣室と浴室

洗面・浴室 Sanitary

眺望の良さを活かした、ホテルライクな洗面脱衣室。床はモールテクス、天井と壁にはヒバの無垢板を使用した。浴室内と同じ材を使うことで、空間の広がりと連続性を感じることができる。

機械換気に頼らない無双窓を設けた洗面脱衣室

洗面台 Vanity

こちらの住まいは別荘として計画されているため、住人が不在になる期間が長い。主が不在でも家が傷まないよう、木が呼吸できる換気計画を目指した。 湿気の籠りやすい洗面脱衣室には無双窓(むそうまど)を設置し、機械換気だけに頼らない換気方法を導入している。

大開口から眺望を楽しむヒバの浴室

洗面・浴室 Sanitary

浴室の窓は、近接する樹木と遠くの海を同時に眺められる「疲れを癒す窓」。浴槽も壁同様にヒバ材で造作した。

閉じた無双窓

洗面・浴室 Sanitary

浴室にも無双窓を採用。利用時には閉じ、それ以外は開け放つことで効率よく換気され、浴室に用いた木材も長持ちする。こちらは無双窓を閉じたところ。

  • 設計

    和知 祐樹

  • 大工

    坂内 大輔、有賀 建樹、小山 卓也 RC:中村 哲、 名倉 大介

グッドデザイン賞受賞

2020年度 グッドデザイン賞受賞

建物の中心に7m×7mの「がらんどう」を設置。都会の喧騒から離れ、静寂な時間を過ごすためのおおらかな別荘建築です。

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