WORK 120
お施主様が幼いころから庭にあった「スダジイ」を中心に据え、母屋・離れ・倉庫を配置したお住まいです。 デザインのポイントは、中庭と屋内を繋ぐ、大きく張り出した軒とウッドデッキ。屋内外の境界が曖昧な中間領域を介して、中庭や離れも含めて一つの「住まい」を形成しています。 ご職業柄、樹木に詳しいお施主様のご希望で、内装・外装にふんだんに「木」を使用しました。外装には米松やレッドシダーを、インテリアにはブビンガやウェンジをと、国内外の様々な樹木がナチュラルモダンな空間を彩っています。
長いエントランスアプローチ。お施主様は素材感にこだわられ、工業製品ではない、木・石・鉄などの「本物の素材」をふんだんに用いて空間を作り上げられた。
壁ではなく、鉄の丸柱が支える大庇。構造計算を行い、個人邸としては異例の大空間を実現した。 軒下は車を停められるほどのスペースがあり、雨天時にはガレージにもなる。軒天には色鮮やかなレッドシダーを、母屋の外壁には木目が美しい米松を用いている。
計画の中心となった、古くからこの地に根を張る「スダジイ」。秋になればドングリが実る。 お施主様は、かつてお施主様自身がそうだったように、このスダジイと触れ合いながらお子様が育たれることを望まれた。
母屋・離れ(書斎)・倉庫を、中庭を囲むように配置。 壁と建物に囲まれた中庭は、お子様たちが安全に遊ぶことのできる屋外空間となる。 建物の屋根を傾斜させることで風景に遠近感が生まれ、都心の住宅街とは思えない開放感が生まれた。
中庭に張り出した大きな庇が、日本古来の曖昧な空間を生み出す。ハンモックを吊るした軒下は、雨天時でも濡れることがない。 軒下には簾を吊るし、昔ながらの方法で、屋内に取り込む自然光の量を調整している。
木製の3枚引込戸によって、広いウッドデッキと一体に使用できるLDK。内外の垂木を現しとし、屋根の一体感を強調した。 広々としたLDKには段差を設け、和室、リビング、ダイニングと、それぞれの空間を緩やかに切り取っている。
リビング上部には2階の部屋を設けず、開放的な高天井とした。堀座卓を導入し、重心を低く設定することで天井の高さが更に強調される。 お子様が床に座って、スダジイの幹を見ながら勉強をする――そんな光景がデザインのスタート。
テーブルに用いた「ウェンジ」の一枚板は、お施主様が銘木店に赴き、選んだ逸品。 非常に大きな一枚板で、反り止めが必要だったが、できるだけすっきりと見せたいというご要望を受け、反り止めを兼用する鉄の脚を採用した。
リビングから一段下がったキッチンは、床に特殊セメントモルタルの「モラート」を使用し、大空間にメリハリをつけている。 kitchenhouse社のオーダーキッチンに取り付けたのは、お施主様が銘木屋で選ばれた「ブビンガ」の一枚板。
LDKに隣接する和室は、開口部を絞って敢えて昏い空間を演出している。母屋・離れに設けた窓は、それぞれ異なる角度・大きさで庭の景色を切り取る。 和室はお子様の勉強部屋にもなり、この窓からもスダジイの幹を見ることができる。
2階ホールにはキッズスペースとスタディコーナーを設けた。構造上必要な柱を利用し、板を渡してファミリーライブラリーとしている。 床はナラの無垢フローリング、壁はルナファーザー+ホタテパウダーと、天然素材にこだわった。
収納棚の壁面にラワン材を取り付け、ボルダリングウォールとした。 二階の階高は通常よりも高く設定されており、屋根の形状を活かした勾配天井と併せて、非常に開放感のある空間となった。
間伐材の丸太を利用した浴室は、お施主様こだわりの特別な空間。北海道の旅館にある露天風呂を気に入られ、都内でも旅館の風情を楽しめるよう、大工が腕を揮って施工した。
「モラート」を天井・壁・床に採用し、和モダンテイストでまとめた1階トイレ。
2階のトイレはシャワーブースを備えている。
レッドシダーの木目が美しい離れ外観。外壁に用いた「ウイルウォール」は、天然木に防火処理を施し、準耐火構造の認定を受けた外壁材。 天然木のため次第に色が落ちついてゆき、エイジングによる風合いの変化を楽しむことができる。
離れは書斎として活用。床には大谷石を、天井・壁にはラワン材を用いた。 造り付けのカウンターからは、庭と母屋を眺めることができる。こちらも和室同様、開口を絞ることで敢えて少し暗くなるよう調整し、落ち着きのある空間とした。
株式会社クラフト+遠藤 創一朗(平成建設)
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