左から 墨田焼「葡萄大水差し」、針山焼「調べ紋様大器」坂田善憲 作、猿投古窯「猿投高坏香炉」大石訓義 作
いつの時代にも日本人の生活の中に存在する素朴な土の焼物。今回展示される焼物は、平安時代から存在する猿投古窯、遠州七窯の流れを汲む針山焼、隅田川発祥の墨田焼と、作られた時代や場所、土や製法など全く異なる作品ですが、どこか共通する懐かしさを感じさせてくれます。時を超えて愛され続ける日本の焼物をお楽しみください。
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猿投蓮弁青海波香炉 h20.5cm φ8.5cm
猿投古窯(さなげこよう)は、日本陶磁の源流と言われています。奈良〜平安時代には高火度施釉の灰釉陶器を生み出し、国産化が図られました。 今回展示する作品は現代版猿投陶器です。陶芸家 大石訓義が、平安時代の貴族や豪族に愛され生産され続けた高級陶器を現在に蘇らせました。古の夢をお楽しみ下さい。
静岡県島田市にて生まれる
土岐市陶磁器試験場修了 韓国・タイ・インドなどで古代陶技修習、古代~中世の古窯の研究を始める
愛知県豊田市に穴窯を築き陶芸制作を開始
タイにて釉薬調整技術指導
ズワイガニ花生 h16.0cm φ10.5cm
能登半島の針山地区にある「針山焼」の“善憲窯”。 遠州七窯の一つ、北九州の上野焼(あがのやき)で修行を積んだ坂田善憲によって、1978年に石川県羽咋郡に開かれました。400年に渡る上野焼の歴史と技術を、石川の風土と陶芸家 坂田善憲の感性で、針山焼として現代に伝えます。
【遠州七窯】徳川時代、徳川家茶道指南役の大茶人・小堀遠州が選定した茶器を作るための全国七ヶ所の窯元。その中でも独特のあたたかみを持つ上野焼は、当時の茶人に大変好まれました。
石川県羽咋郡にて生まれる
遠州七窯の一つ、北九州上野焼にて修業
石川県工芸美術展入選多数、奨励賞受賞
日本伝統工芸展入選多数、日本工芸会正会員認定
仙人と童の遊び花瓶 w14.5cm h30.0cm
東京都浅草を流れる隅田川。その堤に工房があったことから“SUMIDA”と呼ばれた明治の輸出向け彫刻陶器です。
当初は浅草寺参りのお土産品の焼物でしたが、裕福な外国人達に見いだされた“SUMIDA”は人気を呼び、作風も変化していきました。
日本風、中国風、西洋風と自由自在に様式、形状、色彩、釉薬を操った装飾陶器は、物語の世界や風景を美しくユーモラスに表現し、コレクターに人気の焼物です。