おしゃれな玄関が家のイメージを決める | 参考にしたい施工事例

注文住宅

自宅にお招きしたお客様が最初に目にする「玄関」。お客様だけでなく、ご近所の方や配達の方、ちょっとした知り合いなど、家に上がらない人の目にも触れる空間であるため、玄関の印象が家そのものの印象を左右しかねません。今回はおしゃれな家づくりの参考になる、素敵な玄関デザインについてご紹介します。

編集 平成建設

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おしゃれな玄関を実現するポイント

おしゃれな玄関にするためには、まずは「片付いていること」が大前提です。ルームフレグランスや荷物を受け取った際に使ったハンコ、ポストから回収した郵便物などをシューズボックスの上に放置していると、いくらおしゃれなデザインにしても台無しですので注意しましょう。また、より魅力的な空間を作るためには照明や窓の設け方もポイントです。ここではおしゃれな玄関を実現するための工夫をご紹介します。

1.玄関のテイストを統一する

玄関のインテリアをコーディネートすることで、空間に統一感が生まれます。玄関スペースに置くアイテムは厳選し、玄関マットや傘立てのようなインテリア雑貨はテイストを統一させましょう。シューズボックスの上に何か飾りたい場合はシンプルな花瓶か鉢植え、または小さな置物を一つだけ配置するのがお薦めです。

北欧風に纏めたいのであれば明るい色彩と天然素材の組み合せがお薦め。玄関マットやスリッパには北欧デザインのテキスタイルを使用しましょう。インテリアは観葉植物やファブリックパネルが、シューズボックスはシンプルでスリムなタイプが良く似合います。

モダンテイストに纏める場合はモノトーンの配色がお薦めです。ガラスや金属のような無機質な質感を取り入れつつ、アクセントに個性的なオブジェやおしゃれなコートスタンドなど、デザイン性に優れたインテリア小物を配置するとスタイリッシュな空間になります。金属を用いる際はシルバー系が馴染みます。

ナチュラルテイストの玄関には、ハンギングバスケットやドライフラワーのスワッグなど、植物を用いた雑貨がお薦め。生花の扱いが難しい場合は造花でも良いでしょう。玄関ポーチや玄関の天井に無垢の木材を使ったり、木目調の玄関ドアや表面に無垢の板を貼った玄関ドアを採用したりすると、柔らかな空間が生まれます。木製家具の取っ手やフックに金属を用いる場合は、ブラス(真鍮)などのゴールド系がお薦めです。

玄関の壁はディスプレイスペースとしても役立ちます。大判のウォールステッカーを貼れば簡単に玄関の雰囲気を変えることができますが、長期間使用すると剥がした時に周囲の壁と色差ができてしまう点には注意しましょう。ポスターを額装したアートフレームやアイアンのオーナメントも、ウォールデコレーションとして人気があります。壁掛けの大きな姿見は身だしなみチェックに役立つ上、玄関を広く見せてくれるため導入されることが多いお役立ちアイテムです。

2.見せる収納と隠す収納を分ける

日本古来の間取りでは、お客様を迎える玄関(表玄関)と家族が使う勝手口(内玄関・裏玄関)はそれぞれ別のものとして設けられていました。しかし現代になると家族も表玄関を使うようになり、玄関先に生活に関わる様々なものが置かれるようになりました。お客様に雑多な印象を持たれないよう、基本的に生活感のあるものは見えない場所に収納し、見せるものは厳選して飾りましょう。

隠す収納としてお薦めなのが、壁面収納やウォークインシューズクローゼットです。下駄箱を壁面収納にすれば玄関を広く使うことができますし、ウォークインシューズクローゼットは下駄箱とは桁違いの収納力が魅力。自転車やベビーカー、ガーデニング道具のような室内に持ち込みにくいものも収納できますし、花粉症対策としてウォークインシューズクローゼット内にコート掛けや洗面台を設置し、室内に花粉を持ち込まないようにする方もいらっしゃいます。

また、ウォークインシューズクローゼット内に家族用の内玄関を設ければ、かつての間取りのように、玄関からの動線を家族用と来客用に分割することができます。この場合、家族用の玄関は多少散らかっていてもお客様の目には触れませんし、土間をキッチンに繋げれば家事動線を短くすることもできます。玄関土間とウォークインシューズクローゼットの間仕切りには、開閉する際にスペースを取らない引き戸やのれん、カーテンやプリーツスクリーンなどがよく用いられます。

見せる収納として代表的な例は、玄関の壁面にフックを取り付けて帽子やカバンを引っ掛ける、オープンな収納棚を取りつけて靴を置く、競技用の自転車やスケートボードをオブジェがわりに飾るなど。

見せる収納はどうしても雑多な印象になりがちなので、見せるものに法則性を持たせるのがポイントです。靴を並べる際は向きや大きさを統一する、筒丈順に並べる、同じ色合いや素材をまとめるなど、ショップの展示を意識してみてください。傘はきちんと留めて吊るす、アウターはコートハンガーにしっかり掛ける、細々したものは箱やトレイに入れて収納するなど、細かいところの整理整頓が全体的なイメージを左右します。

玄関の面積を最大限に活用しつつおしゃれな空間を実現する「見せる収納」ですが、整然とした状態を保つのはとても大変です。片付けに自信がない場合、いつも履く靴だけを置く、コートや帽子だけを掛ける、趣味の道具をだけを展示するなど、ワンポイントでの活用がお薦めです。

3.照明を活用する

一方は外に繋がる扉、もう一方は廊下に繋がっているため、玄関は他の部屋に比べて活用できる壁面が少なく、窓を設けにくいとされています。玄関に明り取りの窓を設ける場合は、風の通り方や外からの見え方を考慮して開口部の位置やサイズを検討しましょう。採光しつつ外部からの視線を遮るためには、窓を低い位置に設ける(地窓)、すりガラスで視線を遮る、植栽を目隠しに使うなどの工夫が有効です。

玄関上部を吹抜けにして、2階の窓や天窓から採光する間取りも人気があります。縦方向に空間が広がること、高い場所から陽光が降り注ぐことから、開放感のある空間がお好きな方に特にお薦めのレイアウトです。

窓を設けにくいことを逆手に取り、壁そのものを楽しむアクセントウォールにしてみるのも一つの手です。アクセントクロスや塗料を使って印象的な壁面にすることもありますし、エコカラットやシラス(※九州南部で採掘される火山ガラスを使った建材)のように、素材感だけでなく調湿・消臭効果もある建材が使われることもあります。

質感が異なる素材を組み合わせる場合は、間接照明を上手く使いましょう。天井から照らすダウンライトや、特定の箇所を狙って照らし出すスポットライトは素材の陰影を美しく見せてくれます。

壁面全体を美しく照らし出したい場合は「ウォールウォッシャー」という手法がお薦めです。主に商業施設などで使われる照明手法ですが、ダウンライトやブラケットライトを一定間隔に配置することで壁面をムラなく均等に照らし、より広さを感じられる空間を作りだします。

北欧デザインの名作照明やアンティークなペンダントライトなど、お気に入りの一品がある場合は、照明を起点にインテリアを決めてもいいですね。

おしゃれな玄関の施工事例27選

スマートでシンプルな玄関から木の温もりを感じるナチュラルな玄関まで、おしゃれな玄関の事例を写真と共にご紹介します。

1. シンプルモダンな玄関の施工事例

吹き抜けに鉄骨階段が映える、スタイリッシュな玄関。下駄箱から玄関ホールの床、壁までホワイトで統一しており、開放感のある空間となりました。

壁のホワイト、土間のグレーの組み合わせが洗練された印象の玄関。無機質なコンクリートの質感に、ホールや階段の木目が良く映えます。お施主様が購入されたおしゃれな傘立てやハンガースタンドが、モダンな雰囲気を演出。

白を基調としたシンプルな空間に、おしゃれなミラーがアクセントとなる玄関です。天井のダウンライトがミラーをスポットライトのように照らし出します。

2. 自然素材を活かしたナチュラルな玄関の施工事例

玄関土間のモルタル、玄関ホールのホワイトオーク、壁と天井に塗ったポーターズペイントと、天然素材ならではのムラが美しい玄関です。

天然木の木目が美しい、無垢の一枚板を使った式台が印象的。収納も兼ねる造作ベンチの背面には、埋め込み式の飾り棚を設置しています。

杉の無垢の一枚板を天板に使用した大収納の靴箱、相生杉の木目が美しい玄関ホール、玄関の正面には自然を借景するピクチャーウィンドウと、自然素材が調和するナチュラルテイストの玄関です。

3. 吹抜けのある玄関の施工事例

エントランス上部の吹き抜けから明るい光が降り注ぎ、杉板の型枠を用いたコンクリート壁面を美しく照らし出します。造作のシューズボックスはホワイトオークで上品な仕上がりに。

白い壁面、大きな姿見、開放的な吹き抜けで面積以上の広さを感じる玄関。ウォークインシューズクローゼットを設けることで玄関がすっきりと片付き、観葉植物のグリーンが良く映えます。

和の要素に吹き抜けを組み合わせることでモダンな要素を取り入れた玄関です。玄関ドアに採用したのはアンティークの蔵戸。造作の下駄箱には間接照明を設置して浮遊感を演出しました。

吹き抜けからの眺め。土間部分には伝統的な洗い出し仕上げを採用しています。

4. 土間のある玄関の施工事例

レトロな風情が漂う、通り土間を設けた玄関です。アンティーク建具と観葉植物の組み合わせがおしゃれな空間を作りだします。

玄関とウッドデッキを通り土間が繋ぐお住まい。LDK(パブリックスペース)と寝室(プライベートスペース)を土間で分割する間取りは、注文住宅ならではのレイアウトです。

玄関土間を拡張し、趣味を楽しむ部屋とひとつに繋げました。ガラス戸で仕切っているため、庭側の窓から玄関まで光が届きます。土間には家具を設置し、多目的に使えるようにされています

5. 開放的な窓がある玄関の施工事例

エントランス正面に明り取りのFIX窓を設けて明るさを確保した玄関です。有孔ボードを貼った壁と大容量の収納棚は、どちらも「見せる収納」。明るい色調のシナ材を使用して統一感を持たせました。

 採光を確保するピクチャーウィンドウは、植栽を外部からの目隠しに利用。向かって左側の大きな姿見は玄関収納の扉を兼ねています

玄関土間とウッドデッキを大開口で繋ぎました。平屋の強みを活かし、玄関がリビングやダイニング、キッチンと直接繋がるシンプルな動線もポイントです。天井に取り付けた真鍮のハンガーラックは、濡れたコートなどを干すのに重宝しているそうです。

6. ニッチ(飾り棚)のある玄関の施工事例

土間とホールに貼ったグレーのタイルがシックな玄関。ベンチ兼シューズボックスはディスプレイスペースとしても活用可能です。

 廊下とリビングを仕切る木格子が、モダンな印象の玄関。天然木を使って飾り棚(ニッチ)を設けました。お気に入りの花瓶に生けられた四季折々の植物が、お客様をお迎えします。

7. 北欧テイストの玄関の施工事例

玄関土間から書斎に繋がるお住まい。壁紙に北欧デザインのパターンを使用しました。

明るいアースカラーに差し色のグレーを加えた、スカンジナビアスタイルの玄関です。直線で構成されたシンプルな建具が北欧デザインにマッチします。

リノベーションで北欧テイストに生まれ変わった玄関です。大工が取りつけた玄関の飾り棚は、オリジナルデザインの造作家具。シューズボックスの上に設置した鏡は、既存建物のものにフレームを取りつけて再活用した一品です。

8. インダストリアルテイストの玄関の施工事例

玄関土間にMPCポリマーという仕上げ材を用い、インダストリアルな雰囲気を演出。OSBボードにブラックの収納棚を取り付け、クラフト感をプラスしました。

マンションの一室をインダストリアルにリノベーションしました。剥き出しにした配管やモルタルの土間といった工業的な要素に、ハンギングバスケットや鉢植えのグリーンが温かみを添えています。

9. アンティーク家具を使った和モダンな玄関の施工事例

アンティークの下駄箱を設置した和モダンテイストの玄関。壁面のアクセントに用いたアンティークの欄間を、ダウンライトが柔らかく照らし出します。式台の下に設けた間接照明にもご注目ください。

既存のお住まいの趣を活かしたリノベーション事例です。玄関ホールの床は無垢の相生杉を張りましたが、天井や建具は既存住宅のものを活用し、歴史を感じるおしゃれな和モダンテイストに。

アンティークの照明やステンドグラスをインテリアに用いた、和洋折衷のモダン住宅です。新築のお住まいですが、玄関の壁を真壁にすることでレトロな雰囲気を作り出しています。

10. 漆を用いた重厚感のある玄関の施工事例

白い漆喰壁に金色の漆壁が彩りを添える、重厚なイメージの玄関です。式台と飾り棚に使用した印象的な一枚板は、木にできた瘤が複雑な模様を生み出すメイプルの「バール材」。ギターのトップ材としても使われる、美しい無垢板です。

漆を用いた玄関ディスプレイを間接照明が照らし出す豪華な玄関です。玄関扉には銀箔を貼り、漆壁は金色に仕上げることで金銀が対比する空間が生まれました。不燃物に漆を塗る「漆壁」は、平成建設独自の技術です。

まとめ ◆ 玄関は住まいの印象を決める大事なポイント

玄関は収納や動線にこだわる方が多く、リビングやキッチンに負けず劣らず重要なスペースです。お客様に素敵だと思っていただけるよう、魅力的な空間づくりに取り組みましょう。家族動線・来客動線を検討したり、収納スぺ―スを工夫したり、ご家族の暮らし方に合わせて家具を造作したりすることで、玄関はより便利でおしゃれな空間にすることができます。

理想の家づくりのためには、設計士とイメージを共有することが大事です。

明るく開放的な玄関が良いのか、シックでムードのある玄関が良いのか、北欧風やカントリー調などの希望があるのか、特に使いたい素材や家具はあるのか等々、一貫性がなくても構いませんので「好きなもの」の画像を収集してスクラップブックにしたり、SNSを通じて共有したりしましょう。

監修 安藤 正和

一級建築士/宅地建物取引士

メディケアサポートHABAや平成建設本社建替工事など、大型物件のプロジェクトリーダーを務める。