おしゃれな平屋のポイントを実例と共に解説! 外観や間取りにとって重要なポイントとは? | 平成ライフスタイル

おしゃれな平屋のポイントを実例と共に解説! 外観や間取りにとって重要なポイントとは?

大きなウッドデッキのある高台の平屋 注文住宅

平成の時代、一時的に人気が低迷した平屋住宅ですが、価値観の多様化、ポストコロナ社会の到来により再評価が進んでいます。最近は従来の平屋イメージを覆すモダンでおしゃれな施工事例も増え、機能性だけでなく、デザイン性でも平屋は高い評価を得ています。

編集 平成建設

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今、平屋が人気な理由と平屋のメリット・デメリット

老齢層から若者層まで、幅広い人気を獲得している平屋住宅。そのメリット・デメリットと併せて、平屋を取り巻く現状についてご説明します。

今、平屋が人気な理由と平屋のメリット・デメリット

平屋が再評価されるきっかけとなったのは、住宅の寿命が延びたこと。現在、家を建てる方の多くが、老後の暮らしを視野に入れてプランを検討しています。老齢期を考えれば階段はない方がいい、生活動線は短い方がいい、そんな判断からバリアフリー性の高い平屋住宅が再評価され、選ばれることが増えました。

また、リモートワークが一般化したことで通勤圏から解放され、広い敷地を確保しやすい郊外への移住や、地方に住宅を持つことのハードルが下がったことも理由の一つ。おうち時間が増えるにつれ、理想の暮らし方について思案を巡らす方が増えています。

更に、Instagram や Pinterest のようなSNSを通じておしゃれな平屋がシェアされ、若い世代から「平屋=古い」という意識が消えたことも平屋人気の一端を担っているようです。

バリアフリーを重視する高齢層、将来のことを考えるミドル層、シンプルな暮らしに憧れる若者層と、様々な理由によって平屋住宅の人気は高まっています。

平屋のメリットとは?

では、平屋を選ぶメリットとは何でしょうか。

まず、第一に挙げられるのは平屋には二階が存在しないこと。当然階段もなくなるため、段差の上り下りがつらい方、階段が苦手なペットを飼っている方にとって、平屋のバリアフリー性はとても魅力的です。最近は、セカンドライフのために平屋を新築する方や、減築して二階建てを平屋にリノベーションする方も増えてきています。

また、家族がワンフロアで生活することで互いのコミュニケーションが密になることも、家族間のコミュニケーションが重視される現代では高く評価されています。

デザイン面に於いては、全室が1階に配置されるためリビングだけでなく寝室からも庭の風景を楽しむことができる点、周囲の2階建て住宅の中で引き立つ平屋ならではの外観などが、平屋のメリットとして挙げられます。特に平屋住宅ならではの水平ラインは人気が高く、モダンデザインとの相性も抜群です。

平屋のデメリットとは?

当然、平屋にもデメリットは存在します。

よく言われるのが、平屋は二階建てよりも広い敷地が必要であること、二階建てよりも採光が重要であること、そのために敷地の取得金額が高くなることです。また、家族の距離を近く保ちつつ、個人のプライバシーをどう確保するかという問題も、現代的な価値観では悩ましいところでしょう。

しかし、平屋のデメリットは、その大部分が予算とプランニングによって解決できる可能性があります。平屋のデメリットとその解決法について解説した、こちらの記事も併せてお読みください。

【外観編】おしゃれな平屋をつくるコツと実例

伝統を受け継ぐ純和風のデザインも人気ですが、最近は平屋を現代的な感覚で読み解いたモダンな施工事例も増えてきました。キーワードは「自分らしさ」。ここでは、頭に思い描いた理想の住まいを建築デザインに落とし込むコツをお伝えします。

素材の異なる外壁

1.外壁の素材に変化をつける

平屋は横方向に広くなる傾向があるので、一部の外壁素材を変えると良いアクセントになります。例えば塗り壁×木材の組み合わせならばナチュラルに、ガルバリウム鋼板×木材の組み合わせならばモダンな印象に仕上がります。模様やカラーバリエーションが豊富なタイルもアクセントとして使われることが多い素材です。

軒が張り出した平屋住宅

2.軒を上手く使う

軒を大きく張り出させることで、おしゃれな中間領域が生まれます。濡れ縁やウッドデッキを設置する、雨天時も濡れないアプローチを確保する、駐車場を設けるなどなど、外と内が近い平屋ならではの空間を作ってみましょう。

形状を工夫した平屋住宅

3.建物の形状に変化をつける

平屋と言えばシンプルな長方形状の建物が人気ですが、玄関や開口部を凹ませることで奥行きが生まれ、おしゃれな印象になります。軒天に別素材を用いると更に奥行きが強調されるのでお薦め。また、建物をL字型やコの字型に配置すれば、限られた敷地を最大限に活用することができます。

片流れの平屋住宅

4.寄棟屋根だけではなく、片流れやフラット(陸屋根)も検討する

片流れの屋根はアクセントになるだけでなく、明り取りの窓を設けるのにも使えますし、フラットな陸屋根はモダンな印象になります。また、部屋ごとに屋根の高さや屋根の種類を変えることで、平屋であっても高低差をつくることができます。

アプローチを工夫した平屋住宅

5.アプローチを工夫する

各居室と庭がフラットに繋がる点が平屋の魅力ですが、前面道路や隣家との距離は逆に気になるかもしれません。玄関を奥に配置してアプローチを長く取ることで程よい距離感が生まれますし、目隠しを上手く使えば外観のアクセントにもなります。

平屋住宅の外構

6.植栽やテラスなど外構のプランニングに配慮する

平屋は二階建て住宅よりも建物の高さが抑えられるため、植栽の種類と大きさはよく検討しましょう。また、平屋は庭との距離が近くなるため、テラスやウッドデッキとの相性が◎。パーゴラやオーニング、パラソルを設置するとおしゃれな空間に仕上がります。

外照明にこだわった平屋住宅

7.外照明を活用し外構の特別感を演出する

平屋に限らずですが、せっかく建てた理想のお住まいですから、夜間はライトアップしたいものです。玄関灯や門柱灯だけでなく、壁や建物を照らすアップライトやスポットライト、庭木を照らすガーデンライトを設置すると、帰宅するのが楽しくなります。

施工事例1 趣味を楽しむ平屋

趣味を楽しむ平屋外観

塀の焼杉と建物の外壁に用いたレッドシダー、片流れ屋根が印象的な外観。住まいの側面に作品展示スペースを設けた平屋住宅です。

L字型に配置された平屋

庭を囲うようにL字型の建物を配置しました。軒を深く取ることで様々な用途に使える中間領域を生み出します。

平屋と庭の間に設けたウッドデッキ

居室と庭を繋ぐのは、屋久島の杉を加工した広いウッドデッキです。軒が深いため雨天時でも濡れることがなく、多様な過ごし方ができる空間となりました。暮らしの中で四季の移ろいを感じられるよう、庭には様々な植物を植えています。

一つながりの大空間

寝室と趣味を楽しむ作業室、あとは大空間LDKというシンプルな間取りです。
LDKとウッドデッキがフラットに繋がり、屋内外を緩やかに繋いでいます。

書斎スペース

庭と玄関を繋ぐ土間は書斎スペースとして活用します。二つの外空間を繋ぐ「通り土間」は、庭木の剪定や植物の植え替えの際に非常に便利。可愛らしい猫の足跡がデザインのポイントです。

施工事例2 大空間ダイニングの平屋

白い塗り壁が印象的な平屋

交通量のある通りの方向は、敢えて開口部を抑えた外観。白の塗り壁がシンプルでモダンな雰囲気を生む平屋住宅です。建物を道路に対して斜めに配置することで、二方向から風景を取り込んでいます。

庭に向かって設けた大開口

人目を気にする必要がない庭方向には、天井まで届く大開口を設けました。庭とLDKをテラスで繋ぐことで様々な用途に使える中間領域が生まれます。

ダイニングから眺める開放的な風景。構造上必要な柱や梁は化粧材を巻いて内装に馴染ませています。

籠り感のあるリビング

開放的なダイニングと対になるように、隣接するリビングには「籠り感」を求めました。明るい光が降り注ぐダイニングとゆったり寛げるリビング、その時の気分によってどちらも選ぶことができます。

施工事例3 コの字配置でプライベートな中庭を作った平屋

コの字配置でプライベートな中庭を作った平屋:外観

三方向の片流れ屋根が中心に向かう外観。一見、建物はL字型に配置されているように見えますが、実は中庭を囲うコの字型配置+外部の視線を遮る壁という構造で、扉を潜るとプライベートな中庭に繋がります。奥に見える、ぴょこんと突き出た煙突にもご注目ください。

縁の下に薪を収納した薪ストーブのある平屋

住まいの中心に配置した中庭には壁を設け、プライバシーをしっかりと確保。居室は中庭を囲うようにコの字型に配置されており、それぞれの空間が中庭を介して繋がります。

リビングに薪ストーブを設置した平屋

飛び出た煙突の答えはこちら、憧れの薪ストーブです。煙突が短くて済むため、薪ストーブと平屋の相性は◎。周囲の交通量の関係上、外側にあたる壁面には大きな開口を設けず、主に中庭から採光するデザインとしています。中庭の写真をよく見ると、縁の下に薪が収納されています。

施工事例4 自然の中に佇む平屋

自然の中に佇む平屋

周囲の風景と調和するよう、外壁には木材を使用。お施主様はセカンドライフを豊かに過ごす住まいとして、バリアフリー性の高い平屋建築を選ばれました。

平屋に設けた薪ストーブ

緑豊かな風景を借景とする大開口が印象的なLDK。柱のない大空間LDKには、平屋と相性の良い薪ストーブを設置しました。炎の温もりが大空間をじんわりと暖めてくれます。

二間続きの和室のように使える畳スペース

施工事例5 片流れ屋根のモダンな平屋

モダンな平屋外観

片流れの大屋根が印象的な外観。一見すると二階建てに見えますが、こちらのお住まいは平屋建築です。外壁には黒のサイディングを採用して、シャープでモダンな印象に。野暮ったく見えないよう、窓の配置にも工夫しています。

のっぺりしがちな平屋に凹凸をつけた外観

構造がシンプルなぶん、外装がのっぺりしがちな平屋建築ですが、凹凸を設けることで印象が変わります。軒天と扉の木質感も程よいアクセントとなり、硬質な黒い外壁を引き立てています。

平屋の強みを生かした天井の高い室内

リビングは大屋根の形状を活かし、天井を高く取りました。モダンな平屋住宅では、空間を細かく仕切らない大空間LDKが人気。縦にも横にも広がる圧倒的な開放感は平屋住宅の醍醐味です。

【間取り・内装編】おしゃれな平屋をつくるコツと実例

「おしゃれな住まい」は見た目だけでなく快適性も備えてこそ。気の利いた演出でありながら、同時に住まいの性能も高めるコツをご紹介します。

おしゃれな間取りの平屋をつくるコツ

平屋には二階部分の重さが掛からないため、大空間や大開口を設けることができます。特に最近は、この特徴を活かした仕切りのない大空間LDKが人気です。

空間にメリハリを生みたいならば、ダウンフロアやスキップフロアを導入して床高を変え、リビング・ダイニングに連続性を持たせつつ空間の切り替えを暗示するデザインが良いでしょう。

大空間ならではの開放感を満喫したいならば、リビングの天井を高く設定できる勾配天井がお薦めです。また、ウッドデッキでリビングと庭を繋ぎ、「軒下」のような半屋外空間をつくることで、LDKと庭が一体化してより広さを感じられます。

とはいえ、あまりにも開放的にならないよう、植栽を目隠しにしたり、壁や窓の位置を工夫したりして、外部の視線が届かないプライベートな空間を設けることも忘れずに。

  • 空間が一続きとなった大空間LDKを設ける
  • 小屋裏を利用した勾配天井で高さのある空間を作る
  • 大開口を利用して開放感を演出する
  • ダウンフロアやスキップフロアによって床の高さに変化をつける
  • 外からの視線をコントロールしたプライベート空間をつくる
  • 軒下やウッドデッキなど半屋外の空間を設ける

おしゃれな内装の平屋をつくるコツ

洋風の平屋も増えてきましたが、依然根強い人気を誇るのが和モダンテイスト。古材の梁や塗り壁、浮造り天井など、伝統的な日本屋敷の要素を取り入れつつ、モダンな照明計画と組み合わせることで空間がぐっとおしゃれに生まれ変わります。大正・昭和期のアンティーク建具との相性も◎。内装に統一感を生むため、流通品ではなくオーダーキッチンを導入される方も増えています。

また、薪ストーブも平屋と相性が良い設備。煙突が短くなるため掃除がしやすくなりますし、薪ストーブがあれば一台で住まい全体を暖めることができます。薪を管理できるか不安だという方には、より手軽に導入できるペレットストーブがお薦めです。

平屋独特の問題として「横に広いため、家の中心部まで陽光が届かない」という点が挙げられます。これを解決するには、中庭を配置する、天窓を設けるといった方法がありますが、工夫次第ではどちらも内装上の大きなアクセントになります。活用していきましょう。ここではおしゃれな内装に仕上げるコツを5点ほどご紹介します。

スポットライト

1.スポットライトやコーブ照明など、間接照明を採用する

天井を高くできるのが平屋のメリット。高さを活かして複数の間接照明を組み合わせてみましょう。スポットライトは特定の場所やものを照らすのに使われますが、複数設置することで部屋全体を照らし出すことができます。コーブ照明は天井を照らしますし、コーニス照明は壁を照らして部屋を明るくします。複数の間接照明を使用する際にはリモコン式がお薦め。光量や光色をシーンに合わせて簡単に調整することができます。

針を露出させた平屋

2.屋根の形状を活かす、梁を現しにする

屋根の形状を活かした天井にできるのも平屋ならでは。船底天井や片流れの勾配天井を採用する際には、天井の材にこだわってみましょう。木目が美しいレッドシダーやラフな質感がおしゃれなラワン材など、住まいのテイストに合わせて選ぶのがお薦め。また、梁を露出させたり、浮造り(うづくり)天井や網代天井のような伝統的な和風建築の天井をデザインに取り入れたりしても良いですね。

浮造(うづく)り仕上げとは?

「浮造り」と呼ばれる道具で木の表面を擦り、柔らかい部分を削ぎ落す仕上げ方法です。木の年輪は密度の高い「冬目」と密度の低い「夏目」の二種類によって作られますが、板の表面を擦ることで柔らかい夏目が削ぎ落され、木目の凹凸が強調されます。

平屋に設けた天窓

3.天窓を設けて自然光を取り込む

平屋はその構造上、部屋の中心部が暗くなりがちです。明かりを取り込むために高窓や天窓を設けることで、光が届きにくい場所も明るくなります。

おしゃれなキッチン

4.見せるキッチンづくりを心掛ける

平屋にはフラットな暮らし方を求める方が多く、壁や廊下を減らした大空間プランが人気。自然とキッチンも目につきますので、見せることを前提にしたレイアウトを考えましょう。オーダーキッチンならば、細部までこだわってデザインすることができます。キッチンをスッキリさせるため、細々したものはパントリーや背面収納を作ってまとめて収納するのがお薦めです。

床材の貼り分け

5.床材に変化をつけることで空間を分ける

LDKのように複数の機能を持つ大空間の場合、それぞれの空間に合わせて床材を変えることで、大きな空間に動きをつけることができます。リビングには無垢板を、キッチンにはタイル材を使用するなど、用途に合わせて材を選ぶことで使い勝手も良くなります。

施工事例6 立地を生かして眺望を楽しむ平屋

ウッドデッキの形状が特徴的な平屋

眺望を楽しむ高台の平屋。お施主様は2年間ほど土地を探していたそうですが、開けた眺望が決め手となりこの計画地を購入されたそうです。敷地の一部には家庭菜園を設け、土いじりも楽しめるよう計画しています。

ウッドデッキと大開口で繋がるLDK

優れた眺望を活かすべく庭にはウッドデッキを設け、大開口でリビング・ダイニングと繋げました。
最初から平屋にすると決めていた訳ではないというお施主様。暮らし方は子どもの成長に合わせて変えれば良い、だから水回りと寝室以外は一繋がりの空間にしたい、それならば平屋が良いのではないか? と、理想の暮らし方を考えた結果、平屋という結論に至ったそうです。

平屋の強みを活かした勾配屋根

ダイニングとリビングで床材の貼り方を変え、大空間LDを緩やかに分節しています。木の質感を活かしつつ、壁はグレイの塗料で仕上げて落ち着いた雰囲気に。天井を照らすスポットライトや食卓を照らすペンダントライト、リビングのおしゃれなブラケットライトなど、照明計画にも工夫を施しています。奥のキッチンは玄関ともつながっており、帰ってきたときにすぐに家族の顔が見えるのも平屋ならではです。

計画地の決定打となった素晴らしい眺望

ダイニングスペースからの眺め。前面を遮るものがないため、市街地全体を見下ろすことができます。この眺望が土地選定の決め手となったため、住宅の配置やウッドデッキの形状については検討を重ねました。土地形状に対して建物を斜めに配置し、窓の配置は外部からの視線を考慮して決定しました。

高い天井のLDK

平屋ならではの高い勾配天井。障子の向こうはロフト収納になっています。理想の暮らし方を考えた結果、辿りついた平屋の住まい。高い天井と眺望に恵まれた立地により、縦方向にも横方向にも開放感のある、気持ちのいいお住まいとなりました。

施工事例7 高台からの風景を楽しむ平屋

大きなウッドデッキを設けた平屋

市街地と海を見下ろす高台に設けた、大きなウッドデッキを持つ平屋住宅。それぞれの部屋で過ごす時間を考え、風景の見え方が変わるよう窓を配置しています。

モダンな和室

和室に設けた円窓は絵画のように風景を切り取ります。和室はウッドデッキとフラットに連続しており、扉を開け閉めすることで雰囲気がガラリと変わります。

ヒバの浴槽

旅館のような佇まいの浴室。左手に見える無双窓は、入浴時には閉じ、それ以外の時間は開くことで機械に頼らず換気することができます。高低差のある土地を活かした配置計画により、外部からの視線を気にせずゆったりと寛ぐことができます。

施工事例8 旧宅の梁を移築した古民家風の平屋

和モダン住宅

ご主人がお客様をもてなす広い土間と、土間に直結するキッチンが設けられた平屋住宅。住まいのコンセプトに合わせて、玄関にはアンティークの蔵戸を取り付けました。アプローチには旧宅の庭木を植樹し、新しい住まいに記憶と歴史を引き継いでいます。

天窓から採光する平屋の土間

土間のもつ静謐さ、陰影を大切にしたいということで、敢えて大きな開口は設けず天窓から自然光を取り込み、古民家の風情を残しました。

杉板を貼った天井と梁が美しいダイニングキッチン

ご実家で使われていた立派な梁を、新しい住宅に転用。壁は白い塗り壁ですが、天井まで白くすると開放的すぎるため杉板を貼って重心を下げ、落ち着ける空間としました。

施工事例9 プライベートな裏庭と繋がる大空間LDKの平屋

裏庭にウッドデッキを設けた平屋住宅

当初から庭をプランニングに組み込んでいたお施主様。土地の傾斜を利用し、人目を気にせず開放的に過ごせる裏庭に大きなウッドデッキを配置されました。大開口でLDKと繋がる、半屋外半屋内の空間です。

天井の高い平屋住宅

間仕切りのない大空間LDKに大きなキッチンを配置。リビングの一部には畳を敷き、和のスペースとしています。このスペースはご友人とお喋りしたりお子様をお昼寝させたりと、とても便利な空間です。バリアフリー性を重視して段差は設けていません。

ハイサイドライトから光を導く平屋住宅

このように、天窓ではなく上部トップライト(明り取り)から採光するプランもお薦めです。開口部を上部に配置することでプライバシーを守りつつ、壁を有効に活用できます。また、外観のアクセントとしても優秀です。

施工事例10 憧れの居酒屋リビングと薪ストーブのある平屋

薪ストーブのある和モダン平屋

外観は和のテイストを盛り込みつつスッキリとまとめました。コーナーウィンドウや縦長の開口部で、和に寄りすぎないよう工夫。水平・垂直のラインが作り出す、シンプルな和モダンデザインです。

段差の間接照明により浮遊感のある和住宅

リビング・ダイニング・内土間の床高を少しずつ変え、それぞれの空間を緩やかに区切ったLDK。無垢の木材を塗り分けることで、繋がりつつも各自が持つ役割を明確にしています。段差には間接照明を仕込んで浮遊感を演出。

リビングの一角に設けた土間と薪ストーブ

リビングの一部は土間とし、薪ストーブを設置しました。火を落としても暖かく、冬季は毎日のように使っていたそうです。リビング土間、薪ストーブ、囲炉裏風テーブル、円窓と、人気の高い和モダンな要素が揃った平屋住宅です。

30坪台のおしゃれな間取り実例、40坪以上のゆとりある間取り実例

シンプルなライフスタイルの30坪台のお住まい、客間やリビングを複数設けたゆとりのある40坪台のお住まいをご紹介します。

施工事例11 30坪台のおしゃれな平屋「高さ180cmの製作家具が空間を仕切る平屋」

平屋外観

リビングの大開口が大きなウッドデッキと繋がり、縦方向、横方向の広さが強調される平屋の住まい。製作建具の配置と壁・窓の位置をコントロールし、大空間の良さを損なわずプライベートスペースを設けました。

制作家具で大空間を仕切る平屋

平屋の強みを生かした勾配天井の大空間LDK。壁際ではなく少し手前に配置されたのは、高さ180cmの製作本棚です。製作のテレビボードと組み合わせ、リビングとワークスペースを緩やかに仕切る壁の役割を果たしています。

壁代わりにもなるテレビボードと本棚が一体化した製作家具

回り込むとワークスペースが現れます。タイトな空間ですが、どこも閉じていないので圧迫感はありません。同時に、収納スペースの凹凸を活かして壁を作る、外部の視線を遮るように窓を配置するなど、集中できるよう細かい工夫を施しています。

施工事例12 30坪台のおしゃれな平屋「アンティーク建具をメインに現代的な縁側を設けた平屋」

塗り壁と下見板張りが印象的な平屋

塗り壁と下見板張りを採用した平屋住宅。純和風のデザインですが、開口部を抑えているためモダンな印象も与えます。実は屋根に太陽光発電システムを載せた、ZEH住宅です。

アンティークの4枚引き戸を用いた縁側

当初からお施主様が熱望されていた縁側は、アンティークの4枚引き戸で仕切られています。閉じれば廊下、開けばリビングになる便利な空間。この4枚扉ををベースに、インテリアや内装の色合い・素材感を決めました。

リビングとフラットに繋がる縁側

リビングと縁側は同じ床材を用いているため、建具を開けば違和感なく繋がります。

施工事例13 40坪台のゆとりある平屋「棟を直角に交えることでプライバシーを保護した平屋」

2つの棟が直角にまじわる外観

建物が直角にまじわるモダンな外観。二つの棟がぶつかる部分は他よりも高く、一見すると二階建てにも見えます。

高窓から採光する平屋の内廊下

光が届きにくい廊下はこのように、天井を高くして明り取りの窓(ハイサイドライト)を設けています。住まいの中心が暗くなりがちな平屋構造をカバーしつつ、高い天井の開放感、穏やかな陰影によりハイセンスな空間となりました。

旧宅の梁と柱を活用したキッチン

旧宅の梁と柱をデザインに取り入れたキッチン。これほど立派な古材は、探しても中々見つかりません。存在感のある壁紙との相性も◎。旧宅のシンボルは住まいの中に溶け込み、家族の歴史を次世代へと繋いでいきます。

おしゃれな平屋を検討する際のポイント・注意点

平屋住宅のメリット・デメリット、そして実際に建築された魅力的な施工事例をご紹介しましたが、あくまでも大切なのは「自分らしさ」、ご家族のライフスタイルに合わせたプランニングです。デザイン性を追求した結果、住みにくい家が完成した……なんて結果にならないよう、信頼できる設計士とよく相談しながらプランを作成することをお薦めします。

予算は適正ですか?

無理のない資金計画で建てられるお住まいですか? 平屋住宅はどうしても、土地の取得費用が高くなりがちです。現実的な土地の予算、建物の予算を決めておきましょう。

採光や風通しなどの基本設計は考慮されていますか?

住宅は見た目だけでなく、採光・通風・生活動線といった暮らしの基本設計も重要です。デザイン性と居住性が両立できるプランを検討しましょう。

収納は十分ありますか?

おしゃれな住宅は、モノが溢れないよう収納計画も十分に考慮されています。効率的な収納スペースを確保しましょう。とはいえ、せっかく新生活を始めるのですから、新築を機に不要なものは一掃したいですね!

◆まとめ◆自分らしい平屋でおしゃれで快適な生活を!

ライフスタイルの多様化に伴い、平屋のデザインも変化しています。伝統的な和風デザインだけでなく、レトロな和モダンテイストや、自然を取り込んだナチュラルスタイルの平屋も多く見かけるようになりました。

快適な暮らしには、デザイン性と居住性の両方が不可欠です。新築の際には、外観や間取りの見栄えだけでなく、ご家族のライフスタイルや今後の暮らし方も考慮し、住宅会社や設計士と一つ一つの項目を確認しながら決めていきましょう。

監修 内藤 康介

一級建築士/第二種電気工事士/宅地建物取引士

東大大学院卒の職人。大工や現場監督として現場に携わったのち、現在は企画部にて平成建設の技術・品質の向上やSDGs推進に取り組んでいる。