空間漆芸 / owner's interview01

OWNER'S INTERVIEW

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STORY

建築と漆の組み合わせに可能性を感じた

東京都 K様

K様邸エントランス

建築と漆の組み合わせに可能性を感じた

継ぎ目のない漆壁。制作の場を与えてくださったK様に、その経緯や使用感を伺いました。

見たことのないものに魅力を感じた

漆壁を導入したきっかけは?

奥様 仕事柄いろんな物件を見ていて、新しいものを取り入れたり最新のデザインをやっていても、建築に漆という事例を見たことがなくて「これは面白そうだな、どこかに使えないかな」 と考えていました。

旦那様 最初は玄関の壁に漆のアイデアはなくて、ダーツの的を置いたり絵を飾ろうと思っていました。設計途中でその壁が曲面になり、沼津ショールームで漆の扉をみて、これでいこう!となりました。

奥様 玄関にちょうどいい壁もあるということで、やってみたかったんです! 本当に。

塗り壁に漆を施したアートな壁面
塗り壁に漆を施したアートな壁面

オーダーメイドのアート空間

奥様 家を建てるにしても、どこかにアート色があるものを取り入れたいと思っていました。でも絵は買わないし。なんかな~と思っていたんですよ。

旦那様 ここに絵を飾るのなら、いっそうのこと壁全体をアートにしてはどうだろう?って話になって。

奥様 この規模の漆塗りを面で見るって、ないじゃないですか。
だから本当にやってみたいと思いました。どういう風な仕上がりになるか想像しがたくて。
これと同じものって言えればいいんですけど、前例がないので。金ぽい感じに、本当にアート壁みたいにしたかったんです。

旦那様 試作品を世田谷ショールームで見たときに、最初はピンと来なかったんです。今思えばオフィス照明だったからですね。
試作品をスポットライトにあてたとき、金のように輝いて、これだ! と思いました。
昔のイメージもありつつ、触れるのもいいですよね。壁の仕上げ(色)をどうするか最後まで悩みましたが、有賀さんと話して、素材のもつ芸術性を生かしたものにしました。

奥様 日本の気候と合っているから、取り入れるには適しているだろう。
使い勝手も良さそうだし、失敗はしないんじゃないかと思いました。

壁面を前に検討されているK様ご夫婦の様子

暮らしてみて

奥様 どんどん透け感が分かってきて施工直後と違う気がします。面白い素材だな、と改めて感じます。その後ミラノサローネに行きましたが、漆を建築として見せているところはなくて。この質感は唯一無二だと感じます。木に似た材とかいっぱいあって、木より木っぽい印刷のものもありますが、これは真似できない。本物がもつ魅力ですよね。

旦那様 夜は洞窟みたいで赤みや温かみが一気に出てきます。

奥様 裏面の白漆も色合いというか風合いというか、すごくいい。来た人はみんな触っていきますよ。

旦那様 理屈じゃなく本能で感じるよさが分かるんでしょうね。

ナチュラルにアート、それがいい。
奥様 漆の一番いい所は、柔らかい質感かな。見た感じも触った感じも。ペイント類とは違うので。

旦那様 僕の場合は、アートが常にあるということかな。触れるアート。

奥様 アートクロスっていうのもあるけど、こうはならないよね。

旦那様 人間は目が完璧だから、繰り返しがあると気づいてしまうけど、手で作っているから絶対に繰り返しがない。

奥様 パッと見、アートとは思わないけどナチュラルにアート、それがいいですね。

旦那様 来客者のナニコレ? という反応が楽しいんです。漆だと伝えるとこれが漆!? とみんないいますよ。

奥様 次は床に漆を塗ってみたいですね。


古来より日本人の暮らしに根付いてきた「漆」。
形を変えて表現することで、その魅力が再び注目され始めています。
K様をはじめ多くの皆さまに、本物がもつ魅力を肌で感じていただけたらと思います。
取材にご協力いただきましたK様に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。