鎌倉だより⑫
author:
瀧本 篤典
冬だ!
ボーナスだ!!
すき焼きだ!!!
ぼくたちのふところが満たされたタイミングを見計らって
シェフの粋な計らいで、ぼくたちのお腹とこころがみたされました。
現場では原田さんと唯希さんが水回りを収めていました。
2F洗面
脱衣場
1F洗面
今回はそんな舞台裏を紹介したいと思います。
先ほどの写真にあった一際オーラを放った材料にお気づきいただけただろうか。
「漆」で仕上げられた、ケヤキとスギと?です。
元はこんな色です。
?
ケヤキ
漆の起源は9000年ほど前の縄文時代の日本とされています。
あるときは耐久性、あるときは加飾手段として、その技術は現代まで受け継がれてきました。
「漆」という漢字を見ると分かるように「サンズイ」が含まれています。木材で唯一サンズイのつく漢字です。
つまり、水との相性が良いのです。さらに、滅菌作用もあり水回りを収めるのに適しているといえます。
しかし、これがなかなか、はいそれとできるわけではないのです。
漆には様々な技法がありますが、今回は拭き漆と呼ばれる技法が用いられています。
①ペーパーがけ
素地を滑らかにします。
②木固め
木材は多孔質かつ親水性で、水分を吸い膨らんだり、乾燥して縮んだりする性質があります。
木固めとはこういった狂いを防ぐために木材内部の細胞壁を漆で固定し、強化する加工をさします。
「木地固め」に由来します。
③乾燥
温湿度管理が重要となってきます。
平成建設には「ムロ」と呼ばれる漆部屋があり、そこで乾燥させます。
厳密には乾かすのではなく、水分を取り込み酵素と反応して固まります。
「潤す」⇒「うるおし」⇒「うるし」
ですね。
④耐水ペーパーがけ
乾燥させた材料にペーパーをかけます。
肉眼ではわからないレベルの凹凸をペーパーでさらってゆきます。漆でできた極めて薄い層を破かないように慎重にでっぱりだけをさらってゆきます。手の感覚だけがたよりの繊細で集中力を要する作業です。
そして、表面が滑らかになったら②にもどります。こんかいは5度重ね塗りしたそうです。ペーパーの番手も400
から段階的に1500まで上げていきます。
単純計算で乾燥だけで丸五日を用します。
最後は漆を塗って終了です。
そうして仕上がった材料は美しさだけでなく、緊張感もはなっていました。
きっと作り手の思いや、魂がのっているからこそ成せる技かと
そして、こうした影の努力によってできた洗面台を、原田さんと唯希さんは何の躊躇いもなく
収めてしまいました。あらためてこの現場はバケモノばかりいるなと
完成写真および詳細に関しては、原田or渡邊ブログにて。
マズローの欲求の5段階説にもあるように、人の欲求は上へ上へと登って行きます。
ピラミッドの頂点には自己実現欲求があります。さらにその先には「自己超越」という
段階があり、T様邸に関わる先輩たちからはそんな気概をも感じられます。
平成建設の魅力は類を見ない職人集団であることです。様々な考え方をもった多種多様の職人たちが様々な
個性を持って集まっています。
農業革命、産業革命、情報革命を経て現代社会は複雑に入り組んでいます。この現代社会が抱える問題を解決するには、多角的な視点と知の集約が必要です。
「平成」という元号が終わりに向かうこの時代(とき)に、平成建設ができること。
そして、新たな元号を担っていくために平成建設が描く未来がこれからの日本にとって重要になってくるかもしれません。
その一端となる平成大工ブログ。
様々な大工の視点と知恵が集約されています。
また、T様邸ブログは平松さんが2年間描き続けた長編大作となっており、今ではT様邸に関わる大工さんたちの
様々な視点と知恵が取り込まれています。
この記事が【平成大工ブログ】の今年最後になります。
今年一年ご愛読有難うございました。そして、来年も【平成大工ブログ】を宜しくお願いします。
『ときを超える仕事』
この言葉を締めの挨拶とさせていただきます。良いお年を
おまけ:忘年会
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