中庭と広い土間のある家、竣工写真をお披露目いたします。オフィスブログにて既にWEB内覧会を開催させていただきましたので、こちらでは、設計チームによるコンセプト文とともに、お住まいの様子をご紹介します。
- 周辺環境 -
本敷地は北側に接道をもち、南北に細⾧い形状が特徴である。敷地周辺の環境としては密集して近隣の家屋が建っている。南側の敷地は現在空き地ではあるが、家が建つと本敷地側に建築されると考えられる。
そこで本計画では周辺環境からの影響を最小限に抑えながら、敷地の特徴を積極的に魅力へ変換し、増幅できるような住まいを考えていくこととした。
- ゾーニング -
本敷地の特徴である奥行のある形状をいかすため、南側敷地ギリギリにリビングを配置する計画とした。
- 「距離」を持つ住まい -
細⾧い敷地を楽しむひとつの装置として⾧い距離を感じられるように、敷地中心部に庭を置いた。
そして、庭を回り込むようにしてリビングに行き着くことで建物に「距離」をあたえるゾーニングとした。
結果、リビングに至るまでには道路からの⾧い「距離」がうまれ、また、建物の最奥部であることで「行き止まり」の場所となる。
以上により、リビングは居住性の高い落ち着いた居場所となった。
- 庭に落ち着きを付加する -
庭を道路からの視線や喧騒から遠ざけるため、エントランス空間を設けた。
庭への視線はエントランス、玄関、ダイニング、キッチン、リビングと様々な方向からうまれ、一つの庭を違う視点から楽しむことができる。
またエントランスを設けたことにより、プライベートな場所となった庭は落ち着いた環境の時々を室内に持ち込むこととなる。
- 距離の再認識 -
エントランスを設ける理由はもう一つある。敷地の形状をいかした距離感のある家として、入り口から歩いてきた道程の再認識を行うことを意図している。
リビングに行き着き落ち着いた後、ふと庭に目をやることで、その先のエントランス空間が視界に入る。そこには先ほど通った場所( 入り口) が見えることで、最奥部への到着を認識し、「距離を再認識」することとなる。
- ヴォリューム -
ヴォリュームの計画に関しても、リビングの居住性を考えて検討した。
道路側に2 階を乗せ、南側の区画は平屋というヴォリュームとした。南側を平屋とすることで、庭への光の入り方がよくなった。
また、リビングの天井を勾配天井とすることができ、最奥部の空間に「溜まり」としての広がりを与えることにつながった。リビングは居住性を高め、落ち着いた居場所となった。
南北に細⾧い敷地に居住性の高い居場所をつくるために以上のような操作を行い
「距離」「距離の再認識」により奥行きがうまれ、「行き止まり」「溜まり」により居住性が強化された住まいがつくられた。
いかがでしたでしょうか。
「すてきなアプローチだな」「奥まっているリビングが落ち着きそうだな」と感覚で捉えていることが設計士のコンセプトに基づくものだったのだということに気づかされました。
もちろん「広い土間がほしい」「中庭がほしい」「木のぬくもりと共に暮らす家がいい」など数々のご要望をいただいたうえでの回答が、こちらの住まいだったと私は思っています。
中庭と広い土間のある住まいの密着ブログ、今回で最終回とさせていただきます。長い間お付き合いくださいまして、ありがとうございました。
最後になりましたが、こちらの密着ブログの連載に快くOKをくださったお施主様ご家族へ
家づくりのパートナーに平成建設を選んでくださり、また、ブログへのご協力、誠にありがとうございました!