◇ 座談会メンバー紹介 ◇
くきの皮膚科様の営業担当と設計担当の3人よる座談会を始めるにあたり、それぞれのプロフィールを軽くご紹介します。
営業担当 長野 剛貴(ながの ごうき)
営業部次長。医療分野において開業計画(用地選定から設計、施工、融資交渉、会計、職員募集等)から実際の開業に至るまでワンストップで提供する新事業を立ち上げる。
開業された久木野先生は高校時代の先輩であり、開業計画時には内外の取り纏め役を担った。
設計担当 奥村 賢史(おくむら さとし)
一級建築士。
住宅・店舗等を中心に幅広い設計分野に携わる傍ら、設計部課長として若い設計士の育成にも力を注いでいる。
長身、細身、オーバル眼鏡という「いかにも設計士」な風貌は、お施主様の安心感の一助となっているかもしれない。シンプルなラインを用いた設計が多く、程よく直線、程よく曲線。
設計担当 石川 美央(いしかわ みおう)
一級建築士。
住宅、リフォーム、マンション、店舗といった、様々なジャンルの設計に携わる。工事部、リフォーム部、設計部と各部署でキャリアを積んだユーティリティプレイヤー。
じっくり考え、一歩一歩確実に前進するスタイルでお施主様に寄り添う。いつも自然体で後輩も声をかけやすい存在。きっとお施主様にとっても気軽に声をかけやすい存在。
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◇ 設計と営業の関係 ◇
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当社では営業職と設計職が協力してひとつの物件に当たります。
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長野
「ひとつのものを、多くの目で見る、角度が違う目で見るというのは良い点だと思います。設計士さんや監督さんは『つくる者の目』で見るけれど、我々はそれとは異なる目線で考えています。これをどうやってつくるとか、どうやって許可を取るというよりも、こうした方が便利じゃないのか、こうはできないのかっていう。つくる人のことを余り考えない目で見るから」
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異なる目線だから良い。
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長野
「設計の、お客様が要望するものを形にするという役割に対して、僕たち営業はコンサルタントのようなものだから。患者さんから見るとどう見えるかとか、勿論設計士さんもそういう考え方はしてくれているけれど、もっと徹底的に事業としてどうなのかという目線で見ています。患者さんは看板をどう見るか、駐車場は何台あるべきか、そこは設計職とはお互い似て非なる部分があって……
それを踏まえたうえで『こうしたらできるかな』という、そういう営業と設計の話し合いが大事なのかなと。これがお互い違う会社だと、それぞれの言い分がぶつかって喧嘩になりがちなんだよね」
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石川
「設計士からすると、営業さんがお客様の気持ちを上手く引き出してくれたり、代弁してくれたりすると、特に最初の段階の打ち合わせでは、うまく話が進みやすいと思います」
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長野
「どのお客様もそうだけれど、定食屋でご飯を食べて『まずい』とは言わないんですよ。言わないけれど、二度と来ない。そういうところ、ちょっと不満に思ってるんだろうな、もう少し大きくしたいんだろうな、本当はこうしたいんだろうな、って部分は、お客様は言いにくいだろうから代わりに僕が言う。これちょっと小さくない? とかね」
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基本的に営業はお客様サイドにいる。
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長野
「そう。だからその声なき声に耳を傾けないと、大分出来上がった後に『やっぱり自分が思っていたのと違う』となってしまう。その段階で全部引っ繰り返されちゃうと大変なことになるので……」
電子カルテのプレゼンにて。営業は常にお客様に寄り添う代理人。お客様が聞きにくいことがあれば、代わって声を出す。
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石川
「営業さんって本当に大事ですよね。人柄とか……だって、そこが入口ですもんね。相性もあると思いますけど、やっぱり真面目で誠実でないと始まらないんじゃないかなと思います」
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長野
「僕から見ると、設計士さんの方が真面目に見えるけれど」
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営業職の目から見て、設計チームはどう映りますか。
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長野
「設計士さんたちは、僕たちやお客様から投げかけられたことに対して、しっかりと調べて答えを出してくれる。調べて、客観的な事実を根拠に話をしてくれるから、そのやり取りの中でお客様の信頼を得られていると思います。営業とは真逆の視点にいるからこそ、お互いに補っていけるのかな」
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逆に設計職の目から見て、営業担当はどう映りますか。
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奥村
「剛貴さんは知識が豊富なので、お客様から何か言われたときの受け答えがちゃんとしていて、そこがお客様の信頼を得る部分じゃないかなあと思います。何か突発的なことを言われても機転が利いて、『こうじゃないですか』とその場で返せる」
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石川
「今回の物件は特に、剛貴さんが力強く舵を取ってくれたことに感謝しています。打ち合わせの段取りにしても、本当に2週間に1回のペースで工事中もずっとやっていたので、調整するのも大変だったと思うんです。でもそのおかげで、何か先生に聞きたいことができたら次の打ち合わせで聞こう、という風に進められたから、とてもやりやすかったんですよね。まとめてくれる人がいるということが、今回は有り難かったです」
ある日の打ち合わせにて。お客様と隣り合うのが営業、向かい合うのが設計。象徴的な配置。
◇ 成長するしごと ◇
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奥村設計士はお施主様との信頼関係をどうやって築いていますか。
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奥村
「そういうことを、改めて聞かれると……」
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石川
「たぶん、対応の仕方じゃないですか(笑)」
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奥村
「どういう対応ですかね(笑)」
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石川
「誠実さが滲み出る……」
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長野
「僕も真面目さなんじゃないかと思うけどねえ」
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奥村
「ひとつ挙げるとすれば、強要はしないように心がけています。随分昔にある監督がある設計士に言った言葉があって、あ、凄いなと思ったんですが、『説得するんじゃなくて納得させてくれ』って言葉。こっちの方がいいからって説得して進めたら、絶対お施主様は後悔するからと。だからちゃんと説明して、お施主様が納得されてから決めてほしいと。ああこれ凄いな……って思いましたね。だからそれは心がけています」
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設計士としての経験はどういう風に積んでいくものですか?
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奥村
「建築はジャンルが広いので、何年やっても初めてやることだらけなんですよ。だから、基本的にジャンルに関わらず、仕事の段取りと進め方だと思います。
何を調べ、誰に聞いて、どう動くか。それさえちゃんとしていれば、よっぽど特殊なものでなければ大体は対応できるかなと」 -
石川
「でも、安心感がすごい。ですよね。私は、昔はそういうイレギュラーなこと、初めてやることが凄く苦手というか、もうルーティーンだけでいいという感じだったんですよ。
漸く最近、『あ、こんなことになっちゃった、どうしよう』という時に、どう解決するかを楽しめるようになってきたというか……それは主に住宅に関してなんですけど、だからまた、こういうクリニックのような新しい仕事をやってと言われたら、アタフタするんだろうと思うんですけれど」 -
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自分の中で解決のための選択肢が増えてきた?
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石川
「そうそう。私は、経験しないと進めないタイプなんです」
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美央さんは、住宅、リフォーム、マンションと幅広い業務を担当されてきましたが、今回医療施設をやってみてどうでした?
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石川
「分からないこと沢山ありましたよ! ただ監理業務自体はそれほど特殊でも……」
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奥村
「まあ、今回は特殊な設備がないので、ちょっと電気関係に気を付けなきゃいけないぐらいで、そんなに特殊ではないですね。レントゲン室もないし、工事が始まってしまえば、監理は普通の店舗と一緒といえば一緒……かな」
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監理以外で大変だった点はありますか?
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石川
「奥村さんとは何件か一緒に仕事した後だったので、お互い仕事のペースについては大体分かっていたと思うんですけど。実は製作家具が決まっていない部分があって、それを『これやって』と丸ごと(笑)」
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奥村
(笑)
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『お任せ』?
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石川
「お任せされて、実は私は家具がちょっと苦手だったので、しかもそれを急いでやらないといけないというのが苦労した点です。最終的には全部チェックしてもらいましたけど、まあ……一山越えられたのかな? と」
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苦手と知っていたので、成長させるために任せた?
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奥村
「いや、苦手かどうかは知らない(笑)」
「奥村さんは細かいタイプではない?」という問いに「全然! むしろ大胆」との答え。
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石川
「あとは独立看板の段取りが悪くて、間に合うかな、大丈夫かなというドキドキはありました。最終的に間に合いましたけど、看板屋さんにはかなりご迷惑を……」
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何が問題でしたか?
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石川
「背が高くて、確認申請が必要な看板だったんですよ。それと地盤の関係上杭を打たなくてはいけなくて……ちょっと今までそういう看板を付けた物件の経験がなかったので」
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次は大丈夫。
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石川
「はい(笑)いい勉強になりました」
◇ チーム久木野の忘れられないあれこれ ◇
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長野
「実は、この物件に携わった人の感想を聞いてみたいと思ってたんだよね。今回のような、『お施主様のためだけの建物ではない、地域の方にとっても大切な建物』に携わった感想」
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石川
「私は……先生と奥様の人柄が、やっぱりあのご夫婦だったから、凄く楽しみながらできたと思うんです。やっぱり人間関係ありきだと……そこが上手くいってなければ、全体的な計画もあまり上手くいかないのではないかと。
それと、月2回の打ち合わせをするパワーも凄いなって思いましたし、ドクターはこんなに決めることがあるんだ、色んな業者さんと打ち合わせがあるんだっていう驚き。色々、凄く勉強になりましたね」 -
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お引き渡しの日に思わず……(笑)
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石川
「私、関わったのは途中からなのに、先生が泣いていらっしゃるのを見てウッって来ちゃって(笑)。先生が喜んでくれてる、報われた、良かったって」
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長野
「今回はサプライズでムービーを作って、お引渡しの時に流したんですよね。僕も見たけど、普通にいいムービーだったからねえ」
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奥村さんはどうですか。
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奥村
「新しいジャンルの建物をやらせてもらった、そういう機会を与えて貰えたのと、公共性のある建物、住宅とはまた違った経験ができたのが良かったです。
住宅は特定の人向けのものですから、久木野さんだけではなくてその地域の人の為になる建物に携われたっていうのは、自分としてもいい経験だったかなあと思います。毎回細かい修正は行うんですけど、今回はお施主様目線だけでなく来患者目線での気配りもしましたね」 -
長野
「紛れもなく奥村が設計した建物、ひとつの作品だから、僕からすると少し羨ましい。1日に患者さんが100人来れば、100人がその建物を見てるわけだからね」
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最後になりますが、印象深いエピソードを教えてください。
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石川
「あの、カーテンを決める時にご主人が迷われてしまって『僕センスに自信がないから……』と弱気になられてたんです。そこで私が『ここはアイボリーを選んでいましたよね』と言ったら、奥様が『……ということは?』と。
『ほら、これヒントだよ、ヒント!』『じ、じゃあ、アイボリーで!』みたいなやり取りをしていたのが、凄く楽しいなって思っていました」 -
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ユーモアのあるご夫婦なんですね。
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石川
「そう、そうです。次を決める時も『ヒント、ヒントをちょうだい! パスパス!』って(笑)笑っちゃって……」
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長野
「僕はさ、あれだよ、ロゴのほっぺをつけるかつけないかっていう……悩んでた時が結構面白かったけどね。そこかぁー、そこ凄い悩むんだ……と思って。ここは大事だって言って(笑)」
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ロゴはデザイン部でいくつか案を出したんですけれど、まず大前提として、製作要綱に「キャラクター禁止」と書いてあるのに顔がついているじゃないですか。製作者に『なんで顔つけたの』と聞いたら、しれっと『元気になって身体をのびのび伸ばしている喜びを表現したかった』とか言うんですよ。そうしたら、それが選ばれた。
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石川
「あ、規格外(笑)」
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長野
「久木野さんが勤務先に持って行って、何人かに聞かれたみたいですよ。その結果に基づいてという話だったけれど」
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奥村
「途中で口を笑わせたんだっけ? 何か変えた気がするんだよね、その辺を」
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途中で先生が『なんだか無表情に見えてきた』と仰ったので、口を開けて笑わせたそうです。
色指定があり、当初のロゴは緑色。実際の壁に合成したところ色が浮いてしまうため、茶色のデザインを再提案。その際に顔も少し変更。
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長野
「何かね、そこをみんなで一生懸命話してるのがね、顔を突き合わせて何をやってるんだろうなぁと思って面白かったよね(笑)」
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奥村さんは。
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奥村
「そうねえ……やっぱり、最初に言われた車庫とバーベキューをやりたいってご要望、奥様は最初から『は?』って感じで」
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一同
(笑)
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奥村
「まあ車庫はなくなりましたけど、バーベキューできるスペースは、一応残ってると(笑)。水もあるし、電気もつくし、やろうと思ったらできるっていう」
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長野
「屋上で」
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奥村
「屋上で。やられるんですかねえ、夏に……(笑)
大変なことも沢山あったんですけど、図面を見ていると細かい会話がどんどん思い出されるんですよね。最初の図面が2014年の3月だから丸々2年携わったのもありますが、とても、忘れがたい物件です」
設計起案から2年、実際にはそれ以前から打ち合わせを繰り返してきた「くきの皮膚科」様の開業から早3ヶ月が過ぎました。今後もアフターメンテナンスや開業後の経営サポートなど、末永いお付き合いが続いていきます。
設計と営業、その他多くの部署が協働してお客様の開業を支援する「トータルサポートシステム」。開業をお考えの方はぜひ一度ご検討ください。
くきの皮膚科
静岡県伊豆の国市韮山
2016年4月1日に開院された「くきの皮膚科」様 公式サイトです。
公式サイトはこちら
Doctor’s Interview
医院開業支援サイト Doctors’ Assist
平成建設のトータルサポートで開業されたドクターのインタビューをお読みいただけます。
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