22日には即位礼正殿の儀が行われ、雨が降った、止んだ、虹が出たと中々の騒ぎになっていました。
こういう騒ぎを見ていると、日本人は無宗教だというのは間違いなんだろうなあと改めて思います。かといって信心深いかというとそういうわけでもなく、以前ヨーロッパに移住した方が「神社がないから正月は教会に詣でた」と言っていた時は、これはもう信心深いんだか不敬なんだか分からんなと思ったものです。
先日の台風で長野県は大きな被害を受けたそうです。こちらの記事は9月に長野を訪問した記録ですが、路線が完全復旧の際には観光で支援していきたいと思います。
武腰先生の講演会を開催しました
去る10/14(月)、平成建設世田谷支店にて武腰敏昭先生による講演会が開催されました。先生は北陸にお住まいなのですが、台風の影響で新幹線が止まってしまい(!!)、関西を経由してお越しいただいたそうです。長い時間をかけてお越しいただき、本当にありがとうございました。
北陸新幹線、大変ですよね。水に浸かってしまった車両はそのままでは使えないそうで、一部再活用するか新造するか検討中だそうです。25日から全面開通するそうですが、ダイヤが完全に戻るのは大分先になりそうですね。
都内・関東地区からだけでなく、遠路関西からも聴講にいらっしゃったと相馬スタッフが言っていたのですが、憲和スタッフに確認したところ、なんと九州からいらっしゃった方がいたとか……。
武腰敏昭先生、武腰冬樹先生の素晴らしい作品を堪能できる絶好の機会。ぜひ世田谷支店併設のギャラリーにて環境に考慮した「無鉛釉」の世界をお楽しみください。
これは会場の風景なんですが、この矢印の示す作品にご注目ください。
たぶんこちらの作品だと思うんですが、想像よりも大きなサイズで驚きました。
これはダイナミック。
芸術作品は「質量」も構成要素の一つです。写真で見るものとは迫力が違いますので、ぜひ実際にご覧いただければと思います。
こちらの王者は本当に美しいですね。手前味噌になりますが、この背景の漆と相乗効果でいっそう輝いて見えます。まさに暁。夜明け。王者の鳥。
11月16日までの開催です。食欲の秋、スポーツの秋、そして芸術の秋をご堪能ください。
隣県について知ろう 5
前回のあらすじ:4社巡りは複数回に分けて参拝してもOK。
諏訪大社上社の最寄り駅は茅野駅。諏訪湖へのアクセスが良いのが上諏訪駅。そういえば、上諏訪駅にてこんな電車と行き合いました。
16:26発 各駅停車豊橋行き。豊橋着は 22:48。本日の終電です。〆て6時間20分ほど。あ、今日中に着くんだ。意外に近いな? と感じるのは確実に感覚が狂ってます。
そういうセンス大好き。
長野県が生み出した地方スーパーの雄・TSURUYAを探している時に偶然見かけたのがこちら。
手長って……手長足長?
もとい、祭神という意味ではテナヅチ・アシナヅチかなあ? 諏訪に絡むエピソードなんてありましたっけ。(血縁はある)
思いがけない貴人(もしくは妖怪)の名前に興味が湧いて調べてみたところ、本当に手摩乳を祭神とする古い神社であることが分かりました。俄然興味が湧いて参拝。こちらの参拝を増やしたため、4社巡りがタイトから超タイトになりました。
こちらが一の鳥居。なんだこの階段。来るなって言われてる気がする。
きっつい……
一気には登り切れずさすがに途中で一息ついたんですが、これ使ってる人いるのか?
登頂。疲れ果てて写真が適当。
手長神社から少し離れたところに足長神社もあります。
一説によれば手長・足長は洩矢神に従い諏訪明神と戦った言われ、別の一説によれば 、諏訪明神の家来であるとも言われます。「テナガ」というのは中世では従者のことを現していたそうで、何れにせよ上社の祭神の眷属であることは間違いないでしょう。上社の祭神が洩矢神であった時はその家来として諏訪明神と戦い、諏訪明神が祭神となった後は軍神のお供として祀られています。
夕方ということもあり、少し暗い境内では原始の神に対する畏れを覚えました。
神職の方に御朱印をいただく際に「ここの階段は半端ない」と申し上げると
「え、階段上がってきたの? 偉いね!!!???」
とお褒め(?)いただきました。普通は車で来るそうです。そうでしょうね。私だって免許持ってたらそうしますね。階段の長さよりも角度がきついんですよね。信仰の深さを試されてる気がしますよね。
神主さんは手長神社・足長神社、そして諏訪湖の御渡神事を執り行う八劔神社の神職も兼ねていらっしゃるとのことで、御朱印は3枚いただけます。
近隣に縄文時代の遺跡があり、もともと手長足長は共に祀られていたそうなので、ここは古代へと繋がる一対の神を祀る神域なのでしょう。
素晴らしいなと思ったのは、下校途中の小学生たちが境内で遊んでいたこと。古い由来を持つ神社が生活の場に存在しており、信仰が身近にあることを感じる光景でした。
建御名方神は古事記には記載があるものの、日本書紀には出てきません。また、妻であり下社の祭神である八坂刀売神は、記紀のどちらにも記載がありません。
建御雷神に軽く捻られた建御名方神は諏訪の地では「諏訪明神」と呼ばれ、先住の洩矢神を制圧した猛き軍神として、また同時に恵みの雨を齎す巨大な蛇神として篤く信仰されています。
それぞれが伝え聞く神話の中で、カミは土地の信仰に合わせて呼び名と姿を自在に変えていきます。
ミシャグジは諏訪明神に敗れ、神氏(諏訪氏)が諏訪の支配者となり、守矢氏は神長官に退いた。その後金刺氏が下社を構え大祝となった。
しかし下社は上社と争い、下社大祝を務めた金刺氏は1518年に国外へと放逐。諏訪地方の統一を果たした上社大祝、戦国大名・諏訪家もまた、程なく武田晴信に攻め入られ滅亡します。
そんな中、神長官である守矢氏は見事に立ち回り、入れ替わる権力者たちの庇護を受けながら諏訪地方の信仰を纏め上げ、明治の初めまで祭祀を受け継ぎました。
この地において、真の意味で栄えた神は一体誰なのでしょうか。
守矢氏が大祝に降ろしたのは本当にタケミナカタなのでしょうか。
それは人格なき神、樹々を伝って降りてくるミシャグジではなかったのか。だからこそ原始的な祭祀が在りし日の姿のまま、現代に継承されたのではないでしょうか。
いずれにせよ人の心に宿る信仰に変わりはありません。名を変え、由来を変え、それでも人が祈るのは人知を超えた不可思議な力です。ミシャグジであれタケミナカタであれ、そこに大した違いはないのでしょう。
諏訪を去る時間になると、空は晴れているのになぜか雨。そして遠雷。
先週、天竜峡で突然降雨にあったのと同じく、この時の雨は諏訪の神様からの別れの挨拶だったのかもしれません。
おい。
おい………
激しい雷雨により身延線が運行中止。
強制的に降ろされる我ら乗客 in 身延。
確かに遠雷の音は聞こえたけど、諏訪の神さぁ……いや、ここは富士川だから濡れ衣だな……
まずい。上りの終電は21時50分。それまでに富士駅に着かないと一泊することになってしまう。
そして第二の問題はお財布の中身が340円。
……340円。
凄いよね。財布の中が340円て。小学生かよ。あ、あるだけ使っちゃうから。そして身延駅にはATMがないんですよね……お金ないとホテルにも泊まれない……このままでは駅舎 de 野宿なの……?
とりあえず気を落ち着かせるために何か食べよう。
長野人のソウルフード「牛乳パン」。
程よい甘さのクリームとブリオッシュ生地でぱくぱく食べられる美味しいパン。これはぜひ他の都市でも売ってほしいほど凄く美味しい!! 美味しい!
パンを食べてちょっと冷静になって、財布を漁ったらクレジットカードを発見しました。そして電車は20時過ぎに運行を再開し、最初に特急電車が通過するとアナウンス。こうなったらもう、乗るしかない……この特急に。
相馬くん……
山梨県出身の相馬くん……「実家に帰るなら身延線でいいじゃん」などと言ってすみませんでした……
隣席のご夫婦が言ってました……
「身延線は、信じちゃ駄目だ」と……
いいかい、身延線は止まる。止まるんだ。雨が降って止まるし鹿とぶつかって止まる。そういう路線なんだ。
20時10分すぎ、ワイドビューふじかわ、40分遅れで発車。
2時間近く遅延していたためどうなることかと思いましたが、意外にも列車はスムーズに進み、21時半前に富士に到着! うん、遅延慣れしてるね! しかしさすがに340円はマズイとATMを求めて富士の街に出るも、駅前にコンビニがない!
代わりに対面像があった。どうなってんすか富士の駅前は。
ジュースを買ったら残り200円になってしまった。もはや小学生以下である。
結局この日は終電も遅れ、それ以降全ての乗り継ぎが遅延しましたが、日が変わる前に熱海に帰ることができました。
諏訪大社をめぐることで古代の諏訪人の息吹を感じ、原始宗教の痕跡、祭祀の多様性、風景の生み出す信仰の効果、人々に深く根付く祈りの精神、そして「帰りは中央本線を使え」ということを強く感じた小旅行でした。
諏訪の方もぜひ静岡にいらっしゃってください。ただし列車遅延にはご注意を。
◆◆◆
……とまあ、この時はそういう顛末だったんですが、現在台風19号の影響で中央本線が大きなダメージを受けており、なんと身延線が「甲府-東京」間の迂回路として活用されることとなりました。
当面の間、中央本線の「あずさ・かいじ」の代用として臨時の快速電車が運行するそうです。
身延線は単体での収支が厳しく、2011年に大きな台風被害を受けた際は「一部廃線になるのでは?」という噂もあったのですが、その後半年間かけて修復、全線開通しています。さすがJR東海。お金持ち。
利用している住民の方はもとより、こういう災害時のサブ回線としても、路線を維持していくことは重要なのだなあと思いました。