インタビュー

くきの皮膚科様 インタビュー3

◇ イントロダクション ◇

インタビュー中に一度、飛び込みの業者さんがやってきました。「ここにいると声がかかることが多いんだよね」と仰る久木野先生に、

  • 長野

    「僕は飛び込む側だから何ともいえないです(笑)」

  • ドクター

    「剛貴も飛び込みするの?」

  • 長野

    「しますよ。車が止まっていたらチャンス! って思いますよ」

  • ドクター

    「へええ。意外……」

どういう学生だったのかは知る由もありませんが、やはり久木野先生にとって「営業・長野」は不思議な存在のようです。ドクターインタビュー最終回となる今回は、開業を取り巻く昨今の状況についてお伝えします。

◇ 皮膚科を開業するということ ◇

  • 勤務医を続けるメリットとは何でしょうか。

  • ドクター

    「勤務医は、医療だけをやればいいという点では楽かもしれないですよね。勿論、その病院として、組織としての決まりもあるのでそれなりに大変だし、自由がきかないこともあるけれど」

  • 先生には地元での開業という気持ちが強くあった。

  • ドクター

    「そうですね。僕が思うに、今の皮膚科は開業医の方が自由が利くから、ビル診とか居抜きのテナントを借りて、気楽に開業する若い医者が増えていますね」

  • 長野

    「そうなんですか? 皮膚科の場合?」

  • ドクター

    「そう。皮膚科の場合。自費診療とか色々競争も激しいと思うけれど、大学を出て4~5年で開業する若い医者が結構いるんです。皮膚科の場合は皮膚科専門医というものを取らないと……皮膚科医の第一の関門というか、取ったか取らないかで大きく異なる認定なのだけれど、その専門医を取らないで開業してしまう医者がいたり、専門医を取って一年もしないうちに開業する医者がいたりする。

    僕は、医者としてある程度自分の腕を磨いて、極めていかないと、開業というのは独りでやっていかないといけないものだから、厳しいのではないかと思うんです。患者さんは何も知らないから、それなりのクリニックでも集患できて医療を受けていくけれど、医者としてはまだまだ未成熟な人間が独りで診察してしまうのは医者としてはどうかな、と。

    ある程度技術を磨いた上で患者さんを診ることと、技術が未熟なうちに患者さんを診るのとでは、患者さんに提供できる選択肢の幅が違う。どの仕事も同じようなことがあるとは思うけれども、患者さんの満足度と自分の医師としての満足度は意味が違うと思うので、まずは医者としてある程度修行してからじゃないと、開業しないほうがいいのかなと自分の中では思っていますね」

  • 患者側からすると、技術を身に付けられてからの開業は非常に有り難いです。

  • ドクター

    「それと、僕は虎ノ門とNTTで10数年修行できたけれど、経験に加えて年齢という要素も大きいと思います。開業して、これだけのものを建てて、スタッフに働いてもらって、借金だって返していかなきゃいけない。そういうのは体力のあるうちにやった方が良いのではないかと。

    あとはそう……銀行の融資も。銀行によっては60歳以上でも融資してくれたりもするらしいけれど、まあ、やっぱり無理のない返済は大事ですよね。そういう、自分の年齢と医者としての成熟度を考えて、ここでやったら医者として、今後の医者生活で後悔しないんじゃないかというところで一歩踏み出したら良いんじゃないかな」

  • 長野

    「久木野さんの場合、故郷に恩返しという明確なものがあるので、そこに関して凄くハッキリしているのが良いと思うんです」

  • 開業されても東京には通われるんですよね。

  • ドクター

    「通いますね。常に新しい技術や知識を身に付けたいですから。井の中の蛙になるのは良くないと思います」

最近は未成熟な医師によるトラブルが増えつつある皮膚科周辺。手軽に開業してしまう若い医師が増えることを少し憂慮されているそうです。
「医者の満足度と、患者さんの満足度は違う」という言葉には、とても深い響きを感じます。

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◇ 開業を目指すドクターへ ◇

  • 開業を目指しているドクターへアドバイスできることがあればお願いします。

  • ドクター

    「準備期間はちゃんと、余裕をもって計画した方が良い。ちゃんと設けてるつもりでも、自分は結局2年かかりました。2年でも凄くバタバタして、仕事しながらというのもあったと思うけれど、とにかくバタバタしてたから、準備期間はしっかり設けたほうが良いなと」

  • 長野

    「実際には2年という余裕のある方は少ないと思いますよ。スケジュール的には」

  • ドクター

    「それでも忙しかったなあ……少なくともこの2年間、仕事とプライベート、開業の話で忙しくて、1日たりとも無駄に過ごしたなと感じる日はなかったので。あと、開業する前には医師会に挨拶すべきですね」

  • 長野

    「そうですね」

  • ドクター

    「僕の場合、たまたま自分の大学の出身の先生がいらして、その先生に色々ご指導していただけましたが、医師会に挨拶に行って、相談するのは大切です。開業に関して医師会はしっかりとアドバイスしてくれますから、早めに行った方が良いですね。……ああ、あと思ったのがね、やっぱり貯金しておいたほうがいいなって(笑)」

  • 長野

    (笑)

  • ドクター

    「お金をある程度ストックしておかないと、動けないですよ。銀行の融資が下りるまでの間、多少の自己資金を出しておかないと話が進んでいかないから、ある程度のお金は溜めておかないと、と思います。医者の中には貰ったお金をそのままパッと使っちゃう人もいるけれど、開業を考えるならばそれはやめたほうがいいよね(笑)」

  • 長野

    「結局、融資金は借入金ですから、利息を含めて返済しなければいけない。だから少ないほうが良いですね」

準備期間をしっかり設けること。貯金をすること。医師会に挨拶をすること。
この3項目を見ていると、確かに開業は事業なのだと痛感します。

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◇ 開業という事業 ◇

  • 長野

    「実際のところ、不安はありませんか? 開業するにあたって……」
  • ドクター

    「あるよそりゃ!(笑) 今でも凄い不安に苛まされてるよ!」

  • 長野

    「まだ開業していませんものね(笑)」

  • 集患などの経営目線も必要となりますね。

  • ドクター

    「いや、自分の中で『ここでやる』と決めているから、ここでやることに関しては心配はしていません。もう10年ぐらい前かな、非常勤医師として勤務していた病院があるんですが、今でも覚えているけれど、最初の頃の外来患者さんは少しだったんですね」

  • 少しだった。

  • ドクター

    「そこで、自分は自分なりにとにかく患者さんと向き合ってしっかりやろうと決めて、いい加減なことはしないで、分からないことは分からないからちょっと勉強させて下さいとちゃんと言って、写真を撮って当時の上司に診てもらったり、時には患者さんに東京まで来てもらって上司に一緒に診てもらったりしていたら……」

  • 外来に来てくれる患者さんが増えた。

  • ドクター

    「そう。そういう体験があるので、自分がちゃんと患者さんと向き合ってしっかりやれば、地域に根付いてやっていけるのではないかと。もちろん、それは自分が勉強を怠らなければっていうのが前提だけれど。だから、ここで開業するということで、例えば近くに皮膚科ができたとしても、自分は自分のやり方でやっていけば問題ないと思っています。
    ……けど」

  • けど?

  • ドクター

    「健康面だよね」

  • 長野

    「ああ……」

  • ドクター

    「病院に勤めてると、自分くらいの年齢の方が亡くなっていくのを見るからね。自分だって生身の人間。いつ何があるか分からないから、だから今はすごい不安だよね。開業したらゲッソリしていたりして……」

  • 長野

    「僕も開業するドクターと良く話をしますが、どちらかというと皆さん診療に関しては負担を感じない方が多いんですよね。診療はルーティンでやっていたので、だからそれ以外のことをやると凄く疲れてしまう。開院して診療が始まると、途端に生き生きされる方が多くて、寧ろ開院前の方が疲弊されてますよ(笑)」

  • ドクター

    「昨日から元の勤務先に非常勤で行き始めたんだけれど、久しぶりに診療したらね、確かに、改めてやりがいを感じたよね」

開業を決めるドクターは、皆さまご自身の診療の腕については自信を持っていらっしゃいます。しかし、事業としての医院経営については多くの不安を感じているのではないでしょうか。
平成建設では、そんなドクターを支えるため、医院開業を多く手掛ける会計事務所と協力し、開業後も末永いお付き合いをさせていただいております。

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ドクターインタビューは今回にて終了ですが、この後、設計担当者、営業担当者による「開業を振り返る座談会」をお送りします。
その時舞台裏では何が起こっていたのか? 平成建設設計部の特徴とは?
こちらは設計士の本音に迫るインタビューですので、ぜひもう暫くお付き合いください。

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くきの皮膚科

くきの皮膚科

静岡県伊豆の国市韮山
2016年4月1日に開院された「くきの皮膚科」様 公式サイトです。
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