お気に入りの写真 | 藤沢SHOWROOM通信 -平成建設藤沢支店ブログ-
雑記

お気に入りの写真

こんにちは、平成建設藤沢支店設計課の長野です。

自身のお気に入りの〇〇を皆さまに紹介していく企画です。普段何気なく通り過ぎている身近な風景により愛着が湧くような、そんな発見ができたならと…

今回のお気に入りは一枚の「写真」です。

写真2

JR辻堂駅から北に徒歩10分ほど、国道1号に出る手前にこの写真はあります。平成建設の鉄筋コンクリート造4階建の工事途中の仮囲いを利用して、企業のスローガンであるHEISEI DAIKU MINDを象徴的に表すこの一枚の写真は公道に向けて掲げられています。

縦2m横幅6mの巨大な平面に平成建設の社員職人を配し、上下左右の序列がなるべく出ないよう遠近感を排除した構図に、一人一人の個人があってはじめて組織が生まれるという社風を背負った職人たちの自負が感じられます。

この一枚をきっかけにHEISEI DAIKU MINDとはなんぞや?が、より皆様にご理解いただけたらと期待します。

 

それでは写真のもつ特徴から紐解くこの写真がもつ魅力の解読をしてみます。

①背景の真っ黒さ

②先生がいない?

③何を作る人たちか一見わからない…

 

①表情を照らす日差しから明らかに日中に撮った写真であるにもかかわらず、極度に深い闇を背景としています。職人たちが羽織っている半纏も黒く染められていることにより、人物の表情だけが劇的に浮かび上がっています。カラヴァッジョが絵画の前に立つ人の網膜で生じる変化を考慮して現実の見え方よりも明暗のコントラストを実際以上につけたように、この写真の前を通りすがる人や車の行き交うスピード感に抗し一瞬間の記憶を鮮明に定着させることを目論むデザイナーの意図は、確実に功を奏しているようです。一体全体この背景の先には何があるんでしょうか?私たちの目に見えているものは複雑な世界の一つの断面であって、ここに現れている表情の先には培ってきた歴史の堆積があり、だからこそ今この‘張り’が一人一人の表面にみなぎっているのだという職人たちの気概。穿ち過ぎでしょうか?

 

②卒業アルバムの集合写真でよくある構図ですが、微妙に違うのは先生がいないのと、何人いるのかパッと見ても分からないほどたくさん人がいること。何人いるかが大事ではなくどこを切り取っても必ず良質さを提供できる潤沢な基盤があるのですという安心感。ぜひ実際に職人たちを数えてみてください。平板に見えるその佇まいの先にそれぞれに歩んできた経験の厚みが醸し出す技術力の集積を予感してもらえることでしょう。

 

③工事現場に掲げられているのですから、建築に携わる人たちなんだろうぐらいはもちろん推測できますが、あえて彼らに玄能や鉋をもたせていないのはなぜか?職人とはものを作ることを喜びと感じる人たちですという原点を常に見据えているからです。昨今の建築は素材も多岐にわたり業種も様々です。また現場の職人だけでなく監督や営業や設計といった分野も欠くことのできない一連の流れを構成しています。それぞれの分野が分断されることなくひと続きの流れをスムーズに生み出すことが、良質なものを作るための必要な条件でしょう。私たちは‘ものつくりは楽しい’という純粋な心を共有する同志なのだと、ついつい忘れがちになる惰性という力に反作用しながらも…

 

最後に、現地で写真を実際に眺めることができたなら重々しいばかりの閉塞した時代の中で、貴重な一筋の爽風を感じていただけることでしょう。

しかめっ面の多勢の中でも思わず溢れてしまった笑顔が一つ、そこに!