みなさんこんにちは。 「平成記念美術館 ギャラリー」企画・運営担当の三田村憲和です 。
昨日2月14日はバレンタインデーでしたね。日本では女性の方がチョコレートを男性に渡すという風習が一般的だと思います。私が留学していた中国ではバレンタインの日の事を「情人节(Qíng rén jié チンレンジエ)」と言います。「情人(チンレン)」は恋人の意味、「节(ジエ)」は節句・記念日の意味なので、2月14日のバレンタインデーは文字通り「恋人の日」ということになります。日本と違うのは男性から女性に花(主に薔薇の花)をプレゼントするという事です。当日には町中にバラを販売する人が多く、帰宅時にはバラの花束を多く持った男性を見かけました。日本のチョコレートを贈る文化とは違い、国によっては色々あるんだなと思いました。
さて、前回お話しました第6回平成芸術賞を受賞した学生の作品を少しずつご紹介していこうと思います。
今回ご紹介するのは、日本画の受賞者 宇野七穂(Uno Naho)さん。
作品名は「bed room]です。
以下作者コンセプト文
花は生きていて、エネルギーに満ちている。
そのことを印象づける作品が書きたいと考えたのが始まりである。
そして、花を印象づけるには、相対する存在を描こうと考えた時、ミイラが浮かんだ。ミイラは人の手が加えられたことによって残されたものが殆どだが、朽ちていく様は自然なものであり、本物を目にしたときに、花に似たエネルギーを感じ、美しさを覚えた。花と同じように、ミイラも過去に生きていた存在であり、その魂はまた始まるものであると考え、はじまりは夢を持つことであり、夢を見る空間=bed roomと題し、本作品を制作した。
ここからは私の感想です。
生と死、そんな相対するものが一面にあるこのコンセプト文を初めて読んだときに、ミイラという存在が「死=負」なイメージとして自分にはあったので花の存在を打ち消し画面全体を支配してしまっているのではないかと思っていました。
しかし、実際に作品を見た時に豊かな色彩と、 静かに横たわるミイラとそこの上に力強く咲く花たちその細かな描写により「死=負」というイメージが覆され繊細な画面に魅了されました。
この作品の中にはバラの花も見られますね。これは「嫁にバラを買って帰りなさい」という暗示かもしれない・・・と思い、バラを買って帰った私です。(笑)
さて次回は、油画の木村文香さんの作品「虫を踏む 人を踏む」のご紹介をいたします。お楽しみに。