鎌倉の家の建築家である日影さん(日影良孝建築アトリエ)と、オーナー様にお話を伺いに、久しぶりに鎌倉の家を訪問しました。門も出来上がり、庭も美しく仕上がっていました。もうすぐ鎌倉は秋色に染まるでしょう。その時には、鎌倉の家の庭の木々も紅葉して、また違った景色が見られそうで、楽しみです。
庭のところどころに松ぼっくりが。飾りなのか、木から落ちたのか・・・?庭で苔を育てる準備をしていたTさんに「この松ぼっくり拾って来られたんですか?」と聞くと、「これ閉じてるでしょ?これ開くと土が乾燥してるってこと。」と。なーるほど!苔を育てるには湿った土が必要です。この松ぼっくりを見れば湿っているか乾いているか一目でわかるというのです。松ぼっくりが落ちていると、ついつい持ち帰りたくなってしまいますが、その松ぼっくりは、仕事をしている場合がありますのでご注意を。
日なたの松ぼっくりはちょっと開いてますね。
古材をふんだんに活用した鎌倉の家が出来上がって、いったいどんな家具が並んでいるんだろうと思いましたが、客間には、こんなすてきな椅子が。ウィリアムモリスのいちご泥棒の生地が貼られたアームチェアです。ウィリアムモリスと言えば、洋館にありそうなイメージを持っていましたが、古材とウィリアムモリスが意外にもマッチしていて、参考にしたいインテリアでした。
工事中の様子を久しぶりに見返して、当時から出来上がったら撮影が楽しみだと思っていましたが、やはり。といった感じです。
日影さんに、「どうして人は、古材や古いもの、歴史あるものに惹かれるのだと思いますか?」と聞くと、「時間だと思いますね。かけられた時間の蓄積がやっぱりでてくると思うんですよね。新しい部材ではここまで味わいが出ないというか。安心感がないというか。」と。
オーナー様は、社員旅行で福井に行き、宿泊先の隣で偶然取り壊している古民家と出会います。「これどうするの?」と聞くと、「燃やしちゃう」と言われ、もったいない!と思ったのが、古材を集めるきっかけだったそうです。そこから、何十年と古材を集め続け、「日本の古き良きものを、残したい」そんな思いをずっとお持ちだったと話してくださいました。そして、取材に来た私たちには、「それを発信していかないと。写真を並べて、ただ「いいですね」じゃだめですよ。」と話してくださいました。
オーナー様の集めたたくさんの古材は、オーナー様の想いと、日影さん、平成建設の大工や、左官・瓦・漆・和紙・建具・板金・塗装・ガラス・庭・・・といった大勢の職人たちの手によって、新しい役割を与えられ、この先100年はこの鎌倉の地に残ります。オーナー様がおっしゃっていたように、「古材を使って建てた家です」では伝えられない大切なことを、どうやったら伝えられるかを、日々考えています。