毎年この時期になるとグッドデザイン賞受賞作品の発表が行われます。平成建設では、「未来のまちに贈る家」と、「ほとりの家」が、グッドデザイン賞を受賞いたしました。
「未来のまちに贈る家」
間伐材を活用したマッシブホルツのお住まいです。 北海道に植林されたトドマツは主伐期を迎え、しかしその間伐材は使用用途が充分に確立されておらず、利用推進が滞っています。 こちらのお住まいはそんな間伐材を隙間なく敷設し、ビスで接合して強靭な厚板を形成、屋根・床に用いることで「頑強な構造」を得るとともに、「間伐材の有効活用」も果たしています。
現在二人暮らしのご夫婦は、将来的にこのお住まいを地域のコミュニティの場にしてほしいとのご希望をお持ちでした。 いずれは公共施設やカフェとしても活用できるよう、ご夫婦のプライベートスペースは2階にコンパクトに集約し、1階は30人以上を収容できる大空間としたお住まい。 地域の未来を見据え、次世代へと受け継がれる建築の提案です。(詳細)
写真:水上ゴロウ写真事務所
「ほとりの家」
いずれ老齢を迎えるご夫婦が、地域との繋がりを模索したお住まいです。普段はご夫婦のリビングとなる空間を地域の方々へ開放。 ミニコンサートやワークショップを通じて人々が集まり、新たなコミュニティを築きます。経年と共に薄れゆく繋がりを新しく結び直す、地域と、人と、社会と繋がる終の棲み処です。(詳細)
グッドデザイン賞を受賞したものを眺める時に、いったいどのあたりがグッドデザインなんだろう?と思う人も多いのではないでしょうか。例えばこの2点で言えば、三角の屋根、円形の屋根、どちらも一度見たら忘れないような形、外観がグッドデザインなのかな・・・。写真1枚からはそんなところしかわからないかもしれません。グッドデザイン賞のサイトに、こんな文章があります。
「近年、デザインはそれ自体が変化するとともに、社会におけるデザインのあり方も大きく変わってきています。身の回りのもののかたちが徐々に失われ始め、対照的に「サービス」や「システム」といった「機能」そのものが生活の中に顕在化しつつあります。この中でデザインは、人々が自らを取り巻く全体的な状況を察する能力を進化させるための、「環境の中における媒質」としての役割を発揮し始めています。今後はこうした視点からデザインの意義をとらえるニーズが高まるものと考えています。」(※第五フェーズ共有の時代部分より引用)
デザイン=「媒質」であるといった解釈です。「未来のまちに贈る家」も「ほとりの家」も、それ自体の外観デザインや、プランも評価されているとは思いますが、それだけではなく、それぞれのコンセプトの中にあるように、「家」を通して、地域の人々をつなぐことができる「媒質」としての役割が高く評価されたのでは?と思います。
「‥(省略)…日本ではひとつの大きな出来事が起こりました‥(省略)…それは2011年(平成23年)の東日本大震災です。様々な想定を超える出来事が起こりました。こうした状況を目の当たりにして多くの方が「今、自分たちに出来ることは何か」そして「今、本当に必要なものは何か」といったことを考えたかと思います。ここにひとつの大きな価値観の転換が起こったのではないでしょうか。このことはグッドデザイン賞においても「何がよいデザインなのか?」を今一度考え直す契機となりました。(※第五フェーズ共有の時代部分より引用)
「今、自分たちに出来ることは何か」「今、本当に必要なものは何か」「何がよいデザインなのか?」、これらの解答が、グッドデザイン賞の受賞作品から感じられるかもしれません。受賞作品は、来月ミッドタウンで開催されるグッドデザインエキシビジョン2018(G展)でご覧いただけます。「未来のまちに贈る家」と「ほとりの家」も展示されますので、ぜひご来場ください。
グッドデザインエキシビジョン2018(G展)
会期:10月31日(水)~11月4日(日)
会場:東京ミッドタウン(東京都港区赤坂)