藤沢市にて、「藤沢の家」が竣工しました。1階は、車両が2台駐車できる駐車場と、倉庫。2階が30代のご夫婦と、お子様が暮らす居住スペースです。
玄関部分は杉板を貼り、玄関ドアも同じ素材で制作。中が見えないので、この先がいったいどんな空間なのかとわくわくしますね。木のドアなので、重たそうと思いましたが、全くそんなことはなく、軽やかな開け心地でした。引き戸というところもポイントでしょうか。
駐車場は、とても美しい空間です。「ここは、すごく苦労したのにすごくすっきりして見えちゃいますね」と話す荻野に、先輩設計士の山田が「いいんだよそれで、苦労したのがわかっちゃうより、それを感じさせないでサラっと魅せる方が」と。それを聞いた私、心の中で、(お~。深い、深いぞ建築!)と。そして(いいな先輩!いいな後輩!)と思ったのです。
天井部にはグレーに塗装された木毛セメント。床はコンクリート、壁はモルタル仕上げです。異なる仕上げですが、しっとりと心地よくまとまっている印象でした。
制作の玄関ドアを開けると、こちらも美しい土間が。2階へ上がる階段下を利用して、下駄箱に。奥は、書斎となっており、いずれ夫妻の寝室となる予定です。
2階は、窓から窓へ心地よい風の流れる間仕切りの無いLDKです。床にはナラ。右側の特徴的な壁面は、OSBボードを使用しています。壁で区切らず、小上がりの段差で空間をさりげなく仕切っています。
キッチンも、オーダーメイド。コンパクトで使いやすそうです。キッチン脇にはパントリーを設け、食材や、冷蔵庫をリビングから見えないところに収納・設置できるだけで、室内がスッキリして見えます。
右側に建つのは、母屋です。設計士がこだわっていた、母屋とのつながり。二つの家の間の空間も建築の一部。ギリギリまで近づけて計画し、新しい住まいの玄関ホールに掃出し窓を設け、母屋の玄関へ動線を繋ぐことで自然と両家の交流が生まれます。写真中央に見える基礎と一体型のコンクリートのベンチは仕上がりもとても美しく、座り心地もなかなか。母屋に住むご両親と、生まれたばかりのお孫さんとのこれからの交流が目に浮かびます。
竣工写真を撮りに行くたびに、こんな家に住みたいな。自分の家を建てたいな。と思うのです。それはやはり、細部まで丁寧に考えられ、設計され、家の隅々に作り手の思いが込められているのを、強く感じるからかもしれません。