前回に引き続き、葉山に行く目的の一つであった建物。「葉山ファニーハウス」をお送り致します。宿泊雑誌などでも特集されるこちらの建物は、設計の長野が敬愛する建築家 吉村順三氏が設計した「湘南秋谷の家」をリノベーションし、ゲストハウスとしています。
海岸沿いに建つ鉄筋コンクリート造の建物。あえて建物の高さを抑え、すぐ後ろの家からも海が眺められるように配慮しているそうです。店舗正面に華美な看板もなく、ひっそりとした隠れ家のような佇まい。屋根は鉄筋コンクリートにむくりをつけた緩いアール形状で柔らかい印象です。今回はスケジュールの兼ね合いもあって、モーニングで利用させていただきました。
ミネストローネとパニーニのセットをオーダー。眼前に広がる海を眺めながら、朝からゆったりとした時間をお供に美味しくいただきました。次回はフレンチトースト食べたいですねー。お店の方と建築関係からお店を知って訪問したことを話していると、宿泊中の他のお客様チェックアウトされたとのことで、特別に宿泊室内を見学させていただけることに!
RCむくり屋根を張り出した軒先。ぜいたくな空間です。海辺で木製サッシは維持管理が大変で、アルミサッシへの付け替えを検討されているそうです…。増築されたバスルームは半外部で天然木デッキ敷です。この開放感は一度味わってみたいですね。
特に勉強になったのが、こちらの二枚の写真。天井や壁の端部にアールを取って丸く仕上げているのですが、寸法の設定が絶妙なのです。特に壁のアールは小さすぎるとアールだと認識しないし、大きすぎると生活の利便性を損なうこともあるので、主張しすぎないのに空間に張りを加えるこのデザインは秀逸だと体感しました。この他にも参考になる建物の納め方がたくさんあり、華美に設えている訳ではなく、端正に検討されたディテールが積み重なって全体の空間の質を向上させていることを実感できる建物でした。是非宿泊でも利用したい場所です。