家を買おう。じゃあ、土地を探そう。そう思ってこのブログにアクセスしていただいた皆様。いらっしゃいませ。設計の四宮です。
「家を買おうと思うんだけど・・・」という相談をここ最近、プライベートで何度か受けています。子供も出来て、早めにローンを背負おうか。という年代なんでしょうね。するのかしないのか?消費増税も気になりますし。史上空前の低金利。オリンピック需要に向けた人材・資材の不足による建設費の高騰も懸念事項です。今かな?と思ったら、今ですね。個人的には、消費増税は見送りになるのでは?なんて根拠もなく思っていますが。
家を買う。そこにはいくつもの選択肢があります。実家を建て替える。実家をリフォームする。分譲住宅・分譲マンションを購入する。土地を購入して家を建てる。中古住宅・中古マンションを購入する。場合によってはそれをリフォームする。大きく考えられるのはこれらのパターンでしょうか。これらのどれが良いのかは、購入希望者のかなりプライベートな領域が深く影響します。プライベートで相談を受けるときには、色々ヒアリングしたうえでその方にとってベストだと思う選択肢を提示しています。今回は(一応)オフィシャルですし、このところ何件か相談を受けた「土地を購入して家を建てる」に設計者の視点でフォーカスしようと思います。あくまで、一人の建築関係者としての雑観ですので、考え方は人それぞれ。その点を踏まえて読んでいただければ幸いです。
土地を買う時に、一般の人が土地を選ぶ基準を考えてみると、
・場所(立地)
・価格
・広さ
この3点が大きなところかと思います。これらはそれぞれ相関関係があります。立地が良いほどに価格は増えますし、広くなれば総額が増えることも想像がつくかと思います。求める立地や広さは個々に異なりますので、指標としては、立地に対してお得かどうか。広さに対してお得かどうか。となってきます。
広さに対するお得度を比べるには、「土地の坪単価」を比較します。坪単価=総額÷広さ(坪)です。広さによって土地の総額が変わりますが、坪単価で比較すれば似たような立地の土地でもどちらがお得か判断できます。余談ですが、広さ以外の条件が全く同じで30坪の土地と60坪の土地を比較すると、後者の方が坪単価は安い傾向があります。60坪の土地の方が総額が高くなるため、売れにくくなる場合が多いためです。(特殊な立地ではこの限りではないのですが。)
では、立地に対するお得度の比較はどのように検討するのか。掘り下げていくと少しずつ専門的になっていきます。個人的には、立地のお得度を比べるときはお得かどうかよりも、損かどうか。リスクを負えるかどうかを比べています。
同じように見えて、土地は様々な特徴を持っています。建築基準法では建物に関する様々な法律を定めていますが、同時に建物が建つ土地に対しても色々な制約を課しているのです。写真は設計者必携のアイテム「法令集」です。建築関連の法律がびっしり載ってます。分かりにくいですが、本の上面もインデックスだらけ。内容はもちろん全て頭に入ってます(嘘)。
専門的な内容はひとまず置いておいて、簡単な例を取り上げてみましょう。
Q1:広さや条件が同じ。A:駅から徒歩5分の土地。B:駅から徒歩20分の土地。どちらが安いか。
もちろんBです。ただ、AとBで値段の違いが仮に400万円だったとすると、あなたはどちらを選びますか?
Bを選んだ人にとっては15分の差が、400万円安く土地を手にするために背負える代償(リスク)であるという風に考えていきます。この「リスク」と「コスト」の比較は一概に決めることはできません。この判断は購入者に委ねることを前提にしています。
Q2:道路の幅が違う場合、土地はどちらが高いか。
単純な答えはBです。建物は道路に対して一定以上の空地を設けなければならないという法律(道路斜線)があります。それにより、単純に道路が広い方が高い建物を建てることができるためです。
ではどちらにリスクがあるのか。考えていくと、少し見解が変わっていきます。各市町村などの行政が策定している都市計画が、建物の計画に大きく影響します。この場所が「第一種中高層住居専用地域」という主に住宅と住宅街に必要な施設を想定したエリアだったと仮定します。夫婦+子供2人、二階建ての住宅を建てたいという要望であったと仮定してリスクを分析してみましょう。
A:
・道路斜線の影響で東側いっぱいまで建物を建てることはできない。
・道路が広くないので駐車が難しいかもしれない。
・資材や重機の搬入に手間がかかり、建築費が多少増えるかもしれない。
B:
・南側に5階建てマンションが建つかもしれない。
・道路が広いので、子供が飛び出すと危ないかもしれない。
・交通量が多いと排気ガスで外壁が汚れやすいかもしれない。
Aは道路斜線の影響を受けますが、少し西側に建物を寄せても問題がないのであれば、Bの方が土地の値段は高いのにリスクが高そうですね。この条件であれば、AとBを比較したときに、私はAの方がお得かなと判断しています。
Q3:神奈川県内で宅地分譲されたA~Fの土地。土地建物で負担できる総額は4000万円だったとすると、あなたはどれを選びますか?
解説は次回に。